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羽生結弦に学ぶ苦しみや不安と向き合う方法

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第277回
羽生結弦

羽生結弦選手/雑誌協会代表撮影

羽生結弦に学ぶ苦しみや不安と向き合う方法

 男子フィギュアスケートの羽生結弦は今季のショートプログラムで『序奏とロンド・カプリチオーソ』という曲を採用しました。 この曲はもともとバイオリンのためにサン=サーンスによって作曲されましたが、羽生はピアニストの清塚信也に編曲と演奏を依頼してピアノバージョンを作りました。ちなみに羽生と清塚は2018年のアイスショー『ファンタジー・オン・アイス』でコラボしたという経緯があります。 この『序奏とロンド・カプリチオーソ』について、羽生は今季の全日本選手権の演技後に次のように語っています。 「自分自身、アクセルが全然進捗がなくて苦しかった時期でもあったので、暗闇から最初は何か思い出がいろいろちらついてきて、みなさんの記憶だったり、自分が歩んできた道のりみたいなものが、思い出すのではなくて、蛍の光のようにぱっと広がってきて。最初のスピンが終わった後からは、そういうのを全部エネルギーにして、何かに向かってがむしゃらに突き進んで、最後は何か自分でもよく分からない、何か意識が飛んでいるような感覚の中で何かをつかみとる、みたいな物語です」(雑誌『Number』1045号/文芸春秋)

「心」は人間関係によってつくられる

 この発言のポイントは「みなさんの記憶や自分が歩んできた道のりが蛍の光のようにぱっと広がってきた」というところです。人の心は人間関係によって作られます。両親や友人やライバルなど、誰かに対して浮かんできた感情と思考の蓄積こそが心だからです。  そして、そうしてできた心がポジティブなものである場合、そこに至るまでの過程やそれまでに関わった人々の記憶が、まるで光り輝いているよう感じられます。これは羽生の個人的体験に留まらず、自分の人間関係をしっかり意識して、それを生活や仕事に活かせれば誰にでも起こります。  だからこそ、スポーツ選手は試合後のインタビューで「ファンのおかげ」「自分を支えてくれた人達のおかげ」だとコメントします。こうしたコメントは単なる綺麗事ではなく、選手たちは実際に自分が感じていることをそのまま口にしているのです。  では、私たちがこうした結果と心境を手に入れるにはどうしたらいいのか。その答えが自分が仕事で関わるお客さんです。自分の仕事を通して、「あなたのおかげで助かった」「あなたのおかげで救われた」「あなたのおかげで変われた」と感謝されると、それまでの努力や頑張りが無駄ではなかったと心の底から思えるようになります。  反対にお客さんとのポジティブな関わりがないと、心がどんどん暗くなっていきます。私は仕事柄、起業や副業にチャレンジしている方の相談に乗ることがよくあります。彼らが一番強く感じているのは「自分のやっていることは誰にも見向きされないのではないか」という不安です。  起業や副業を考えるくらいなので、彼らはその仕事について知識や技術を持っていて、「自分なら何か結果を出せるはず」と考えて始めています。しかし、実際に結果を出せるような人でも、鳴かず飛ばずの期間が半年や一年くらい続くことは珍しくありません。すると、「自分が考えたことは的はずれで、何の意味もなかったのではないか」という不安が頭をもたげています。
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感謝がもたらす変化
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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