仕事

スニーカーショップを大成功させた男を発奮させた母の一言

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第274回

フリーマーケットでビジネスチャンスを発見

フリーマーケット

写真はイメージです

 スニーカーセレクトショップの『アトモス』がアメリカのスニーカー小売大手『フットロッカー』に394億円で買収されました。  アトモスは2000年に原宿で誕生し、ナイキやコロンビアといった世界的メーカーとコラボしたスニーカーを発売することでスニーカーマニアを中心に人気を拡大。2020年度には192億円を売り上げました。  アトモスの創業者である本明秀文社長はもともとフリーマーケットでビジネスチャンスを発見しました。アメリカへの留学経験があったため、日本のフリーマーケットで数万円で売られているスニーカーや古着が、アメリカでは10ドルで売られていることに気づいたのです。  この「アメリカで仕入れたアイテムを日本で売る」というビジネスは初年度で7億5000万円を売り上げたと言います。ビジネスを始めた当初は代々木公園や明治公園のフリーマーケットに出店していましたが、1996年に並行輸入店『CHAPTER』をオープン。さらに2000年にスニーカー専門店『アトモス』をオープンします。

一時は成長がストップしたことも

 こうして順調に売上を伸ばしていた本明社長でしたが、年商20億円前後で一度成長がストップします。それだけの売上があれば生活には困らなかったからです。しかし、その頃にある転機が訪れます。その転機になったのは彼の母親の言葉でした。 「あんたは人生を無駄にしてるんじゃないの? もう少し商売を真面目にやりなさいよ。私はもう長くないんだから、私の息子だったら良い夢を見せて」  ある日カフェに呼び出され、C型肝炎から肝硬変を患っていた母親にそう言われた本明社長は心機一転して商売に取り組むようになり、売上を大きく伸ばしていきました。この時の母親の言葉について、「母ちゃんの一言は本当に大きかったですね」とecbeingのインタビューで答えています。  ビジネスは「安く仕入れて高く売る」という利鞘を追求するのが目的です。しかし、ただビジネスライクな考え方をしているだけで成り立つわけではなく、自分の人間関係が強く影響しています。なかでも母親との関係は特に重要です。  母親との関係は生まれた瞬間から始まる最も長い人間関係です。そのためお互いの間に蓄積されている感情量が尋常ではありません。また、母親との関係は幼少時の授乳やハグといったスキンシップが多いため、生き方や感じ方といった内面的な部分に作用します。  そのため母親の言葉に心を揺さぶられたことで、本明社長のように人生観や仕事観が一変することも珍しくありません。このように「自分らしさ」や「個性」は自分自身について考えるだけでわかるものではなく、自分の生まれや育ちに関わった多くの人間関係を振り返ることでわかるようになります。
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お互いの人生をよくする
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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