中央道が「中央高速道路」から「中央自動車道」に格下げになったのはなぜ?
そんなかわいそうな中央道で、驚天動地の事件が発生した。中央道上りの国立市付近に設置されている速度自動取締装置によって、時速235kmで走行した車両の持ち主が逮捕されたのだ。
3月1日、スピード違反で逮捕されたのは、会社員の白井良宗容疑者(41)。実際の違反が行われたのは、2年以上前の2016年1月29日深夜4時15分である。
驚天動地だったのは、まず違反車両がアメリカ車のダッジ・チャレンジャーだったこと。もうひとつは、現場がそれなりのカーブだったことだ。実測時速235kmといえば、スピードメーター上では確実に時速250kmは超えているはず。大馬力のスポーツカーならそのくらいの速度は出せるが、問題はカーブだ。
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
現場は、半径1200mほどの右カーブ。ブラインドになるから先もよく見えない。このあたりの中央道は、深夜・早朝でもガラガラということはまずないから、他のクルマもそれなりに走っていたはず。そこで時速250km以上というのは、性能的にも度胸的(?)にも、驚天動地なのである。
富士スピードウェイには、300Rという半径300mの高速コーナーがあるが、サーキットはコース幅を左右めいっぱい使えるから、実際の旋回半径は1000m以上になる(たぶん)。つまり、車線を守った場合の現場とさほど変わらない(たぶん……)。
富士の300Rは、時速200kmくらいでも十分ビビる。時速250km/hで走れと言われても、自分には絶対ムリ! レース関係者も、「中央道のあそこで250以上は、ダウンフォースがしっかり効くレース車両じゃなきゃ考えられない」と漏らすが、問題のチャレンジャーは、巨大なウイングを装着していたわけではなかった。
直線なら、パワー次第で時速300kmオーバーもどうにでもなるが、今回の時速235kmは、物理現象として奇跡的な事件に思えてならないのである。
取材・文・写真/清水草一1
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