レスラー仲間たちは、ルーガーにとってプロレスが“いいお金になる仕事”以外のなにものでもないことを知っていた。 　“トータル・パッケージ”とは、アスリートとしての才能、パーフェクトなボディー、スーパースターとしてのオーラをすべて兼ね備えたタレントという意味だった。 　WCW崩壊後、プロレスファンのまえから姿を消したルーガーは、“事件の容疑者”としてニュースの登場人物となった。ジョージア州マリエッタのルーガーの自宅で、同居していた婚約者エリザベス（ランディ・サベージの元妻）が急死した。 　死因は急性ドラッグ中毒だった。警察はルーガーの自宅からステロイド、ヒト成長ホルモン、テストステロン、オキシコンティンなど14種類の薬物を押収。 　“トータル・パッケージ”は、“トータル・パッケージ”の無限大の可能性に期待をかけ、応援し、サポートしたすべての人びとを裏切ってしまったのだった。 ●PROFILE：レックス・ルーガー Lex Luger 1958年6月2日、イリノイ州シカゴ出身。本名ローレンス“ラリー”フォール。USFLに3シーズン在籍後、ヒロ・マツダのコーチを受け1985年9月、フロリダでデビュー。NWA／WCW世界ヘビー級王座通算2回保持。1992年、WWEと契約。1995年9月、WCWに電撃復帰。2003年5月1日、ルーガーの同居中だったエリザベスが急死。死因は急性ドラッグ中毒だった。 ※文中敬称略 ※この連載は月～金で毎日更新されます 文／斎藤文彦