エンタメ

RADWIMPS、ゆず…“愛国ソング”と叩かれても、なぜ彼らは歌うのか

「愛国ソング」批判者のダブルスタンダード

 また、「愛国ソング」で騒ぐ“一部の人”および彼らに同調する日本の一部マスメディアは、日本人による韓国・中国批判はヘイトと規定するが、その逆(外国人による日本批判)はヘイトではないというダブルスタンダード(二重基準)を持っている。  彼らのこの歪んだ認識は、最近、原作者の白正男氏のツイッターが突然凍結されたことで話題沸騰中のマンガ『テコンダー朴』(青林堂)にて、ギャグのネタに使用されている。

全方位に喧嘩を売っているとして、ネットで話題沸騰の『テコンダー朴』(青林堂)。日本には在日韓国・朝鮮人が居住している。“一部の人”たちは、在日韓国・朝鮮人が日本人に対して何を言ってもヘイトスピーチにはならないが、その逆はヘイトスピーチになると本気で考えている。画像はネットで拾ったもの(笑)

 ギャグというのはそもそも、共感できなければギャグにならない。つまり彼らのダブルスタンダードぶりが人々に広く知れ渡り、また共有されているからこそ、ギャグとして機能するのである。実際、このいびつな構造は、昭和時代から続いてきた伝統的なもので、現在までしぶとく残り続けている。

韓国政府を批判しても、韓国アーティストは批判しない

 ところで筆者は、前回記事のように政治問題に関しては韓国を批判する立場にある。だが、韓国のアーティストを批判するつもりはない。前回書いたように、「それはそれ、これはこれ」なのだから。もし韓国人アーティストが「独島は韓国の島」と歌ったら、歴史的事実に基づいて、理論立てて「間違っている」と指摘するだろう。だが、それを歌いたいというアーティストの感情については、「好きにすればいい」という立場だ。  作り手の意図を悪意をもって曲解する“一部の人”によるバッシングは、憲法に定められた基本的人権の侵害である。「表現の自由」を奪う弾圧行為は、クリエイターの牙を抜くことになり、その結果として、サブカルチャーを平板で無味乾燥なつまらないものにしてしまうだろう。  サブカルチャーにおいては、何でもありで、政治的ネタもどんどんやればいい。伝えたいことを伝えればいい。得てして人の良いクリエイターほど、多方面に配慮したり、忖度してしまうものだ。しかし、アーティストならば信念を貫くべきではないか。強いクリエイターが活躍してこそ、文化は活性化するのだから。そしてファンは、アーティストが“一部の人”たちに負けないようにぜひ支えてあげてほしい。  現在の流行歌には、かつてのような繁栄の姿はない。だが、政治性や反体制のスタンス(=「愛国」)を帯びたテーマの楽曲をもっと多く作って送り出すことで、音楽産業が活性化するのではないか。近年、音楽産業と同様に衰退している出版産業が、「愛国」「嫌韓」ムーヴメントで活性したという実績があるのだから、その効果は音楽産業でも見込める。若いアーティストにとっては、今がメジャーアーティストになるチャンスかもしれない。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
1
2
3
ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  長らくジャパニーズメタルは、洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 国内では無視され、メタル・カーストでも最下層に押し込められてきた。メディアでは語られてこなかった暗黒の時代から現在の世界的ブームまでを論じる、初のジャパメタ文化論。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

おすすめ記事