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20年以上待ち続けているニューアルバム以上に出してほしい! X JAPANのインディーズ時代の初期楽曲ベスト盤

Xはインディーズメタル・シーンの東の横綱だった

 80年代~90年代初頭頃の日本のヘヴィメタル界隈では、「東のX、西のCOLOR」「東のエクスタシー、西のフリーウィル」と言われてきた。COLORとは、フリー・ウィル・レコードを設立したパンクロック・バンドで、同レーベルは人気V系バンドを多数扱っている。エクスタシーは言うまでもなく、YOSHIKIが立ち上げたレーベル・エクスタシーレコードを指す。  だがこれは、ヘヴィメタルの視点ではなく、ヴィジュアル面から見た東西比較だ。筆者はメタラーであるから、その視点から見て、「東のX、西のTerraRosa」と声を大にして主張したい。

TerraRosaのアルバム(筆者撮影)

 TerraRosaとは、関西で活躍した女性ヴォーカルの実力派バンドだ。ではなぜ、ヘヴィメタル視点による「東のX、西のTerraRosa」としたいのかと言うと、両バンドのメンバーおよび過去に在籍したメンバーには、それぞれ関東と関西の著名なインディーズメタル・バンドで活躍したプレイヤーが、多数確認できるのだ。  Xのほうは、SAVER TIGER、DEMENTIA、MEPHISTOPHELES、Mein Kampf、Virus、UNITED、media youthほか。TerraRosaのほうは、DEAD END、JESUS、X-Ray、MAGIC、SWEET DANGER、MARINO、JERUSALEM、STARLESS、WOLF、魔女卵ほか。つまり、XとTerraRosaが、関東と関西双方のインディーズメタル・シーンにおける代表バンドと言っていい。

なぜXは残り、TerraRosaは解散したか

 筆者は、両バンドについて、似た者同士と思っている。まず、結成時期がどちらも1982年。そしてどちらもインディーズでアルバムを1枚残している。そして、インディーズ作品はLP盤しか存在しなかったが、メジャー・デビューした1989年に、CD化された。(TerraRosaは5月、Xは10月)。  つまり、両バンドともメジャー・デビューは1989年で、やはり似た者同士と言える(TerraRosaは3月、Xは4月とほぼ同時期)。両バンドのデビュー・アルバムには、後半に10分を超える大作曲が収録されている。  さらにメンバー構成とその経緯も近い。TerraRosaは、キーボードの岡垣正志が音楽性の鍵を握り、赤尾和重(かずえ)の歌がTerraRosaたらしめており、メンバーチェンジはこの2人を核に行なわれている。  対してXは、ドラム、ピアノのYOSHIKIが音楽性の鍵を握り、Toshlの歌がXたらしめており、この2人を核としてメンバーチェンジが行なわれている。  また、『BURRN!』(シンコーミュージック・エンタテイメント)2017年10月号によれば、1986年、XとTerraRosaの2バンドに、某メジャー・レーベルからデビューの話があったようだ。  これだけ数多くの共通点があるが、最大の違いがある。それは、1989年の両バンドのデビュー当時、Xは洋楽メタルの支流下に属さず、未来を見て邦楽シーンで生きたが、TerraRosaは洋楽メタルの支流下に属することで過去に縛られ、邦楽シーンでは生きられず解散したということだ。  だが筆者は、TerraRosaが大好きだ。TerraRosaの楽曲およびアルバムは、洋楽メタルの作品群のなかで戦ったとしても、相当上のレベルに到達しているのだから。
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Xにいつかリリースしてほしい曲はこれだ!
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  長らくジャパニーズメタルは、洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 国内では無視され、メタル・カーストでも最下層に押し込められてきた。メディアでは語られてこなかった暗黒の時代から現在の世界的ブームまでを論じる、初のジャパメタ文化論。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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