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洋楽メタルを聴かなくなった日本の若者たち――原因はサッカーのサポーターのゴミ拾いか?

<文/山野車輪 連載第37回>

LOUD PARK開催見送りにメタラー激震!

「お客様に満足いただける内容を提供することが困難」と、2018年のLOUD PARK開催見送りを伝えるツイート(LOUD PARK公式ツイッター@loud_parkより)

 少し前の話題となるが、2006年から毎年開催され、2017年までに12回続いた日本最大級のヘヴィメタル・フェスティバル=LOUD PARK(略称“ラウパ”)が、2018年の開催を見送ることが5月24日、公式発表された。来年以降開催されるかどうかも、まだはっきりしないらしい。  2006年に千葉の幕張メッセで開催された第一回は、スラッシュメタル四天王のMegadethとSLAYERがヘッドライナーを務めて話題を呼び、その後も、Marilyn Manson、Slipknot、KoЯn、Motley Crue、Judas Priest、Ozzy Osbourne,など、メタラー垂涎のバンドが出演。  日本のアーティストも、DIR EN GREY、Galneryus、浜田麻里、OUTRAGE、仮面女子などが出演し、ももいろクローバーZや演歌歌手の八代亜紀も飛び入り参加したりしてきた。  ロック・フェスが盛んな今、なぜ洋楽メタルのフェスが中止になったのだろうか。日本においては、洋楽メタルは衰退しているのか。今年、ラウパが開催されなかった要因について、洋楽メタラーからさまざまな意見が出ている。 ①世界的にフェスが乱立したことによるメジャー・バンドのギャランティ上昇 ②それに伴うチケット代の高騰 ③スポンサーの減少 ④洋楽メタラーの興味がベテラン・バンドに偏重し、ヌーメタル以降のバンドでの集客が困難 ⑤洋楽メタラーが白人マンセーなことで、国産バンドを使っての集客も難しい ⑥次々と新しいサブカルチャーが生まれ、音楽を聴くという趣味が後退した ⑦親世代は洋楽聴いて育っているが、少子化の進行により、次世代に受け継がれていない  おおまかには上記の通りだ。「①メジャー・バンドのギャランティ上昇」は世界の潮流だし、「②少子化問題」については日本社会が抱える問題なので、メタラーにはどうしようもない。「⑥音楽を聴くという趣味が後退した」ことも、メタラーに手に負える問題ではない。  この中で、「④新世代バンドを盛り上げる」ことや、「⑤国産バンドを応援する」ことは、洋楽メタラーの意識次第であろう。だが日本の一部の頑固な洋楽メタラーは、ヌーメタルに対して排他的であり、X JAPANやBABYMETALなどの国産アーティストおよびV系やラウド系アイドルなど日本独自のメタルのサブジャンルに対しても厳しいというのが現状である。  とはいえ、このような洋楽メタラーの意識を是正することは難しい。メタラーの間では、分かっているリスナーだけで良いという排他的なスタンスが一定の支持を得ているのである。だが、これは洋楽メタルに限ったことではない。このようなタコツボ化したコミュニティはほかにも見られ、やはり似たようなものである。先鋭化を進行させていき、どこかで倒れるのだ。
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洋楽ロックを聴かなくなった若者たち
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  長らくジャパニーズメタルは、洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 国内では無視され、メタル・カーストでも最下層に押し込められてきた。メディアでは語られてこなかった暗黒の時代から現在の世界的ブームまでを論じる、初のジャパメタ文化論。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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