元地下アイドルと元国民的アイドルの「全員卒業」対談
真知子:Aちゃんのユニットはなんで終わったんだと思う?
Aちゃん:うーん……限界かな?って。メンバーの精神状態の限界。今のユニットの人気を落とさないように頑張らなきゃって心張り詰めすぎちゃったみたいです。SDN48の場合はどうでしたか?
真知子:本当の理由を知らないんだけど、私の予想では思ったより売れなかったからかなぁって。だから大人じゃなくて若くて新しいグループを育てたかったんだと思ってる。Aちゃんは、終わるって聞いたとき、どう思った?
Aちゃん:このまま、その場しのぎの活動を続けてもって思っていたから「もう潮時なのかな」って思いました。あとは金銭面をどうしようって。
真知子:たしかに、私も心のどこかで「よかった」って安心したの。終わるのは突然かもしてないけど、薄々感じてはいたよね。終わってから金銭面はどうなったの?
Aちゃん:終わるってわかってから卒業までの間で貯金しました。あとは退職金みたいなものが出たので、それでなんとか次の仕事までの間やりくりしました。
真知子:え~、凄い!退職金羨ましいなぁ。って、話を戻して、いざ、アイドルが終わる時の心境はどうだった?
Aちゃん:今まで頻繁に会いに来てくれたお客さんが他に推しを見つけて離れてしまうんじゃないか、と不安になりました。やっぱり芸能活動を続けていくうえで一番大切なのはファンの方だから。
真知子:そうだよね、触れ合う機会が減ると一気にファンが減るよね!あれだけ好きって言って応援してくれたのにみんなどこ行っちゃったの~?って。そうならないように、どう繋ぎとめてるの?
Aちゃん:会える機会がなくなった分SNSを強化したり、Live配信アプリを使ってコミュニケーションを取り続けることしかできないですね。
真知子:わかる。それはもう小さくて地道な努力だよね。それでも「終わったアイドル」だから今までのような活動はできないわけで……そんな「終わったアイドルたち」ってどうなっていくと思う?
Aちゃん:卒業したアイドルさんたちが撮影会やオフ会、ミス○○系のオーディションにエントリーするっていうは典型的なパターンですねよ。それを見ていると「私はどうすべきなんだろ?」と、答えのない負のループに陥っちゃう。終わったアイドルさんは必死で仕事を探すイメージがあるから。でもなんか違うよなって思う自分もいて。
真知子:終わったアイドル、仕事がないアイドルの果てが、撮影会、オフ会、ミス○○オーディション、アイドル舞台……。私たちはそう見えるけど、一般的にはこれがアイドルの登竜門的なイメージなんだよね。
Aちゃん:うん。それがとっても不思議。昔はミス◯◯って原石発掘だったからここから羽ばたく!ってイメージがあったけど、今は強いファンを持っているか?の即戦力のコンテストになってて、ミス◯◯をとるのはもちろん凄いことだし、少しでも何かあったほうがいいってのも分かるんだけど、「アイドルの登竜門」が今は「箔をつけるだけ」のイメージに変わっちゃったなー。さらに、取ったからといってそれに見合うのか? 次の仕事に見合う力があるのか?って考えちゃって。でもそれしか仕事がないのも事実で、何もないより少しでも何かあったほうがいいってのもわかるんですけどね。
真知子:終わったアイドルも結局は「アイドル性を売りにしたアイドルっぽいこと」しかできないんだよね。実際に私も全員卒業して6年経つけど、まだまだ秋葉原でアイドルしているし、したいですもん。
Aちゃん:ですよね。もしアイドルユニットが終わらなかったとしても、このまま現状維持をして年をとってくんだろうなーって思います(笑)
終わってもアイドル。就職をして芸能界からいなくなるコもいるけど、抜け道は結婚だけ。ってことなのかな……。私自身を含め、そんな「終われないアイドル」が今後増えていくと思うと、少しゾッとしますね。
ミスマガジン2004(原田桜怜名義)、SKE48/SDN48の元メンバー。現在はフリーランスで活動し、秋葉原でお店「発掘!グラドル文化祭」(
guradorubunkasai.net)をオープン。店内では水着のグラビアアイドルが♡むぎゅむぎゅ♡してくれるむぎゅパンケーキが名物として発売中。アイドルユニット「グラドル文化祭」のプロデュースもしている。グラビアDVD「待ちこがれて」「mature」。Twitterアカウント「
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