更新日:2019年09月27日 15:37
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アメリカの中国に対する制裁関税で日本企業が受ける悪影響

 この動きはさらに加速している。トランプ政権は8月13日、中国による対米投資制限を強化する国防権限法案を成立させ、中国の大手通信会社のZTEとHuaweiの製品を政府機関および政府機関と関わる企業が利用することを禁じた。これによってHuaweiなど中国企業に部品を納めている日本企業にもダメージが出てきているが、日本政府の対応は鈍い。しかも来年10月の消費税増税を閣議決定し、景気の悪化が見込まれることから、国内自動車大手をはじめとして日本企業の多くが海外、特に中国市場欲しさに中国への進出を加速させている。  このまま増税に踏み切り、日本企業の海外進出を促し、国内の産業空洞化をさらに加速させるのか、それとも消費税減税を含む思い切った減税によって国内消費を拡大し、日本企業の海外進出に歯止めをかけるのか。安倍首相と財務省の手腕が試されている。
(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

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 ’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。

 日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。
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