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アメリカの中国に対する制裁関税で日本企業が受ける悪影響

― 連載「ニュースディープスロート」<文/江崎道朗> ―

米国と中国の“貿易戦争”が日本企業にも飛び火


ニュースディープスロート

対中貿易赤字の削減を目的に、トランプ政権は中国に制裁措置を発動。8月には中国の大手通信会社、ZTEとHuaweiの製品を政府機関および政府機関と関わる企業が利用することを禁じた。それによってダメージを受ける日本企業が出てきている(写真/時事通信社)

 米国の製造業が空洞化したのは、中国による不公正な対米輸出のせいだ。米経済を立て直すためにも、知的財産の不正使用や奴隷労働による中国のダンピング輸出を是正する――。これが米大統領選挙中にトランプ大統領が訴えていたことだ。その公約を守るべく、トランプ政権は知的財産権侵害を理由に中国からの輸入品に対して制裁関税をかけた。

 この対中制裁関税は、米国にもダメージを与える。制裁関税をかけると中国製の安い食品や衣料などの値段が上がり、米国の消費者が困るのだ。そして消費者物価が上がって生活が苦しくなれば、選挙には勝てない。トランプ大統領のすごいところは、米中貿易戦争で物価が上がることを想定して事前に手を打っていることだ。

 昨年12月22日、税制改革法案を成立させ、「レーガン大統領以来30年ぶり」と言われる大減税に踏み切ったのだ。その税制改正は、3つの柱から成っている。

 第1に、個人に対する減税だ。個人所得税率を引き下げ、児童税額控除も拡大した。一世帯あたり年間約30万円も可処分所得が増えるという試算もあるほどだ。

 第2が法人税減税だ。経済活性化や雇用の創出を図る観点から連邦法人税率を35%から21%へ、実に14%も引き下げた。これにより、地方法人税(カリフォルニア州)を含めた実効税率は40.75%から27.98%へ引き下げられた。おかげで雇用環境は劇的に改善され、昨年末のボーナスも増加し、国内消費も活発になってきている。

対中制裁関税でダメージを受ける日本企業


 第3が、国際課税だ。全世界所得課税から領域主義課税に原則的に移行することに伴い、1986年以降に国外で稼得・蓄積された資産に対し、一度限りで、現金性資産に対しては15.5%、それ以外の資産に対しては8%の課税を行うこととした。

 その意図は明らかだろう。トランプ政権は海外、特に中国に生産拠点を移した米企業に対して国内に生産拠点を戻すよう呼びかけた。14%も法人税が減税されれば、国内に製造拠点を戻そうとする米企業も増えることになる。そうすることで雇用拡大、個人消費増加による景気拡大を狙っているのだ。

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日本企業にもダメージが出てきているが日本政府の対応は……

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