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埼玉県随一の高級ラブホはロードサイドにあり/文筆家・古谷経衡

驚愕のルームサービスメニュー

 さて、本題の『ナパバレー』の紹介だが、普通国道沿いに郡立するラブホテルは、「設備は中堅、値段は格安」と相場が決まっている。が、この物件は、(部屋にもよるが)実のところそこまで安いラブホテルでは無い。しかしその内装・設備たるや国道4号線沿い埼玉県南部ではまず地域随一の「高級ラブホテル」であると言って良い。  なぜに独りラブホテルが目途の私が、このような高級な宿に泊まる必要があるのか、といぶかしがる読者諸兄も居られよう。いやいや、私だって人の子である。たまには贅沢だってしたいんだ!
 ということで、この宿へ泊まるときはとっておきの気分転換の時とか、所謂「自分へのご褒美」の時だけに限られている(とはいえこの宿に数十万円単位で落としているのも事実である)。『ナパバレー』の目玉は、なんと言ってもファミリーレストランを遙かに凌駕するルームサービスメニューと、名物の「100円カレー」である。
イマドキのラブホテルには珍しく、「一度入館すると外出不許可」というルールがあるため、逆に覚悟を決めて缶詰になって原稿に打ち込むことが出来る、という私流のメリットも大きいのである。
ルームサービスメニュー

そんじょそこいらのファミレスを凌駕するルームサービスメニューの豊富さ。朝昼晩の心配なし!

 国道沿いをあてども無くさまよい、「ここぞ!」と決めたホテルに入ったが最後、幽霊が出そうな前近代的なラブホだった経験は、読者諸兄にもあろう。独りの場合は特段の問題ないが、それがデートだった場合、その雰囲気は畢竟台無しになる可能性大。しかし当物件『ナパバレー』の場合その心配は一切無い。「えー、こんな綺麗で近代的で都市的なラブホテル知ってるの~!すごぉ~い!」と貴兄の評価はうなぎ上りに高まること請け合いである。私が自信を持ってオススメしたい「国道沿いラブホテル」のひとつである。

名物税込み100円のチキンカレー(日にち限定)。味は……普通です

●ラブホテルQ&A  Q. そもそもラブホテルが国道沿いに多いのはなぜですか? A. ラブホテルが国道沿いに多いのではなく、国道が先に出来てラブホテルが後から乱立していったのです。国道が開通した当時、当然国道周辺は農村地帯。ラブホテルを建設しても、反対する住民が殆ど居らず、用地取得も容易で、お上の許可も出やすかったのです。その後に開発の波が押し寄せ、国道沿いが住宅地とラブホテルの混在となりました。つまり順番は国道開通→ラブホテル→住宅分譲です。
(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数
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