更新日:2019年01月25日 17:33
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「新宿のコンビニで拾った」大麻所持で逮捕された有名私大生による珍答弁<薬物裁判556日傍聴記>

大麻 ちなみに大学側に発覚すると退学を強いられることもあるそうです。果たして、日暮は無事就職することができたのでしょうか。  彼が自身の違法行為に気付き反省するに至るのは、拘束され、この裁判の一つひとつの過程があってこそと言えるかもしれません。このあと日暮の証人として、母親が法廷に立たされます。日暮もまさか自分が逮捕され、被告として法廷に立つなどという危機感を抱いていたとは思えませんが、母親はなおさらでしょう。 弁護人「今回の事件の前に、貴志君から、大麻について聞いたことはありましたか?」 証人「ありません」 弁護人「貴志君が、何か大麻に関係するもの持っているのを見たりとか、そういうことはありませんか?」 証人「ありません」 弁護人「何か行動で不審なところとか、おかしいなと思ったことはありませんか?」 証人「ないです」 弁護人「今回12月21日に職務質問で大麻が発見されて、その日、逮捕される前に自宅に戻っているんですが、職務質問で大麻が発見されてしまったという事は、12月21日以降に聞いていたんでしょうか?」 証人「はい」 弁護人「どのように聞いたんですか?」 証人「12月21日から3日か4日後くらいに、そのような持っている時に警察に見つかって捕まってしまったということを、聞きました」 弁護人「何を持っていたと言っていましたか?」 証人「大麻のような物を持っていたけどわからないと言っていました」 弁護人「大麻を持っていたとはハッキリ言わなかったんですか?」 証人「はい。ようなものと言っていました」 弁護人「その時、大麻を吸っていたという話は聞いていましたか?」 証人「いえ、聞いていないです」 弁護人「警察からそのことについて、お父さんやお母さんのほうに何か連絡はありましたか?」 証人「ないです」 弁護人「そうしますと。そのあと警察との関係では、いきなり逮捕されたということですかね?」 証人「そうです」 弁護人「警察が来たのは何月何日ですか?」 証人「2月18日です」 弁護人「どのようなかたちで来ましたか?」 証人「朝6時くらいに警察の方が見えて、家宅捜索をされて、そのまま連行されていきました」 弁護人「家宅捜索で、何か大麻の関連するものは見つかりましたか?」 証人「見つかりませんでした」 弁護人「あなたは、そこで、貴志君が大麻取締法違反で逮捕されて、どう思いましたか?」 証人「まさかこんなことになってしまうなんて思ってもいなかったのでビックリしました」 弁護人「警察の留置場には面会に行きましたか?」 証人「はい」 弁護人「何回行きましたか?」 証人「5回くらいです」  朝の6時に警察が息子を逮捕しにやってきたり、その息子のために5回も面会に通うわけですから、「まさかこんなことになってしまうなんて思ってもいなかった」というのは母親の偽らざる心境でしょう。罪を犯すとは、周りの人間に不当に理不尽な体験を強いることだとも言えそうです。  大麻については売人の名を明かそうが、拾ったと言おうが判決にほとんど変化はないらしい。日暮の判決は「懲役6ヶ月、執行猶予2年」。ちなみに初犯での大麻の不法所持はだいたい「懲役6ヶ月、執行猶予3年」が一般的な判決だそうだ。日暮の執行猶予が2年なのは、未来ある大学生に対しての温情判決と言えるかもしれない。 ※斉藤さんのnoteでは裁判傍聴記の全文を公開中。(https://note.mu/so1saito/n/nfa037c8f87ab) <取材・文/斉藤総一 構成/山田文大>
自然食品の営業マン。妻と子と暮らす、ごく普通の36歳。温泉めぐりの趣味が高じて、アイスランドに行くほど凝り性の一面を持つ。ある日、寝耳に水のガサ入れを受けてから一念発起し、営業を言い訳に全国津々浦々の裁判所に薬物事案の裁判に計556日通いつめ、法廷劇の模様全文を書き残す
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