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現役自衛官はなぜ勲章をつけていないのか?海外軍人と大違いの実情

我が国の勲章には特権がつかないという不思議

 日本国憲法第14条3項では「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。」とあります。
陸上自衛隊Twitter

陸上自衛隊Twitterより

 そもそも軍人の誇りとは、国を守るために雄々しく戦い、敵を倒し勝利に導くことだったはずです。その危険で厳しい軍人の働きに国が与える名誉が「勲章」です。昔の勲章は国から一時金や年金がもらえる栄誉の証であり、褒賞の意味合いを持つものでした。国家のために働いた者に授与されるのが勲章であり、受勲者の以後の生活を豊かにし、家族や周りにも恩恵を与えたわけです。洋の東西を問わず、歴史を振り返れば、武士も騎士も戦闘の報酬には領地や城や財物などを受けとりました。古来より武人たちは栄誉と褒賞を受けるべく奮闘努力してきたのです。  明治9年(1876)にできた勲等年金令では、授与された勲章によって年金が支給されることになっていました。勲等年金令の規定によると、勲一等は年額800円、勲二等は600円、勲三等は360円、勲四等は180円等の年金を終身受けることができました。昔の勲章は生涯にわたって家族も豊かに暮らせる憧れの制度でした。  しかし、現行法上では受勲しても特典は何もありません。日本の栄典や勲章授与は形骸化したものになってしまいました。産業や芸術やスポーツで功績のあった人も勲章を授与されますが、それで生涯の生活を豊かにするものではありません。勲章は美しく、天皇陛下や大臣等から頂ける感激はもちろんあるのでしょうが、それだけなのです。  世界中を見渡しても、勲章に年金や一時金がついてこない国はほとんどありません。しかし、我が国では憲法が「国のためにいくら頑張ったとしても、名誉(と気持ち)だけしかあげられない」と規定しているので仕方ありません。ネットでは「働いたら負けと思っている」という言葉をよく聞きますが、こういうところにも我が国を弱体化させる罠が仕掛けられていたような気がしてなりません。戦後、GHQによって1週間で方向性を決められた日本国憲法ですが、日本人の気概を削ぐ効果は高かったようです。  優秀な人材は国境を越えて世界が奪い合います。様々な好条件で誘致されるのです。戦後70年間、我が国は頑なに憲法改正を拒んできました。が、その条文のもたらす効果を私たちは深く考えてきたのでしょうか? 勲章1つとっても現行憲法には様々な問題があります。まずは1項だけでも、とにかく憲法改正に手を付けなければならないと思います。


「グリコのおまけ」と呼ばれる防衛記念章

 皆さんは自衛官の胸についている小さなリボンのような「防衛記念章」をご存じでしょうか? これは自衛官がその経歴を記念して制服に着用することができる「き章」です。勲章の代わりに勲章をぶら下げるリボン(略綬)を、真似て作ったものですが、自衛官はこれを揶揄して「グリコのおまけ」と称しています。  そんな名前を付けてしまう気持ちはよくわかります。「勲章でないもの」を勲章に見せかけるための必死の工夫を見るにつけ、そのチープな発想と現状がとても悲しく残念に感じられます。憲法改正が国民の合意を得て成立した暁には、自衛官(隊)もその存在が合憲となるわけですから、現役時に堂々と勲章をもらえるようにしたいものです。頑張った人が報われる国になるために、憲法改正後には必ずこの制度を変えてほしいと切に願っています。<文/小笠原理恵>国防ジャーナリスト。関西外語大卒業後、広告代理店勤務を経て、フリーライターとして活動を開始。2009年、ブログ「キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)」を開設し注目を集める。2014年からは自衛隊の待遇問題を考える「自衛官守る会」を主宰。自衛隊が抱えるさまざまな問題を国会に上げる地道な活動を行っている。月刊正論や月刊WiLL等のオピニオン誌にも寄稿。日刊SPA!の本連載で問題提起した基地内のトイレットペーパーの「自費負担問題」は国会でも取り上げられた。『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)を上梓

自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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