エンタメ

発達障害という“レッテル”に、僕は救われた/落語家・柳家花緑

 昨年から大きな話題になっている「大人の発達障害」。SPA!で特集を組んだところ「自分もそうかもしれない」「知人が驚くほど当てはまる」と反響があった。発達障害の当事者たちは、その特性から職場でさまざまな困難に直面している。発達障害特性を持つ著名人はどのように向き合ったか?

大人の発達障害

柳家花緑氏

発達障害という“レッテル”に、僕は救われた


「発達障害というレッテルを貼られたことで、僕は救われた」と語るのは、昨年発売した著書『花緑の幸せ入門』で発達障害を告白した、落語家の柳家花緑氏だ。戦後最年少の22歳で真打ちに昇進し、落語の持ちネタは200席近くにも達する彼。だが幼少期は手がつけられないやんちゃ小僧だった。

「読み書きがまったくできず、授業中でも動き回って喋り倒してしまう。勉強することにそもそもまったく興味を持てなかった。成績は国語や数学、英語などオール1に近い成績で……。特に漢字が絶望的に読めない。子供の頃からつい最近まで、人と同じことができない劣等感や自己嫌悪と闘い続けていたような気がします」

 そんななか、数年前にテレビ番組で小学生時代の通知表を公開したところ、発達障害の児童を持つ親から思わぬ反響が届いたという。

「突然、『ウチの子と同じで、あなたも発達障害ですよね』って言われりゃ、誰だって混乱しますよ。そんなわけないだろと思いつつ学習障害や多弁、多動性など特徴を改めて調べてみると、まるで自分のプロフィールを読んでいるかのように当てはまるわけです。最初は混乱しましたけど、根底の原因がわかったことで、『周りと同じようになぜできないのか』という、これまで抱えていた自己嫌悪から解放されたのも確かで。一人で背負い込まなくていいんだと思えて、次第に心も落ち着いていきました」

 その後、自分と向き合うことで「段階を踏むように、発達障害というレッテルに寄りかかれるようになった」と語る花緑氏。今では台本の漢字一つひとつに、嚙みしめるようにルビが振られている。

「できないことも視点を変えれば、何か工夫はできるだろうと。例えば視覚からの情報に弱いなら、聴覚を使ってみる。台本を読んだ声をスマホに録音して、何百回も繰り返し聞きながらネタを頭に叩き込みました。多動という特徴も、興味が湧けばどこへでも吹っ飛んでいくので、それが落語の深みに繫がることもある。多弁だって落語家にとっては最高の武器です。発達障害は足かせになるだけじゃない。弱さをさらけ出して向き合うことで、今後はまた一味違った人生になるような気がします」

【柳家花緑】落語家
中学卒業後、祖父である五代目柳家小さんに入門。テレビや舞台でも活躍し『花緑の幸せ入門「笑う門には福来たる」のか?~スピリチュアル風味~』など著書多数

― 大人の発達障害診断リスト ―

発達障害グレーゾーン

徹底した当事者取材! 発達障害“ブーム"の裏で生まれる「グレーゾーン」に迫る





おすすめ記事