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織田裕二主演『SUITS/スーツ』がいよいよ最終回。法廷シーンは最後まで登場しないのか?

 そして、この二人のやり取りに象徴されるように、本作では法廷シーンがほとんど出て来ない。これは一見すると、リーガルドラマでは致命的とも思えるのだが、その裏には“法廷だけが戦いの場ではない”という弁護士のある種のポリシーが貫かれていると言える。と、同時にこう考えることも出来る。  実は主演の織田裕二は’95年のやはり10~12月クールで『正義は勝つ』(フジテレビ系・水曜21時~)という弁護士ドラマで新進気鋭の若手弁護士役で主演しているのだ。このときは法廷で連戦連勝しまくる花形弁護士を演じていた。要はこのドラマと“かぶる”のを防ぐために、あえて法廷シーンを避けているのでは……とも勘ぐってしまうのだ。要は弁護士ドラマの違う見せ方、新たなリーガルドラマの形を提案したのがこの『SUITS/スーツ』なのである。

 さて、そんな本作もいよいよ最終回を残すのみ。  甲斐とそのパートナー・大貴がそれぞれの自らの過去の忘れ物と対峙するストーリーとなっている。甲斐にとっては検事時代に扱い、えん罪を引き起こしてしまった殺人事件。そして大貴にとっては、第9話の最後でチカに知られてしまった経歴詐称である(余談だが、チカに大貴の正体をバラした磯村勇斗演じる谷元遊星の描き方にも注目したい)。  並のドラマなら“ダメな人間も努力次第、生き方次第で生まれ変われる”という展開になるのだが、本作はそれをしなかった。実は人間というものはそう簡単に自分を変えることは出来ない……ということをあの1シーンできちんと明示したのである。本作ではこれまで甲斐が本格的に法廷で活躍するシーンを描いてこなかったが、遂に最後の最後で法廷シーンが登場するのか?  それとも“法廷だけが戦いの場ではない”というポリシーを貫くのか? そしてその正体をチカに知られた大貴の命運は? 最後の決着の瞬間に注目したい。<文/上杉純也>
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