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自衛隊の廃棄物がオークションで売られている謎

自衛隊の教範が売られている

 自衛隊関係の中古品の販売で一番問題なのは、古い教範がオークションに出品されていることだと思います。これらの多くは、特定秘密情報保護法すらなかった古い時代のものです。昔は配られた教範が使用後に回収もされず、また廃棄方法の具体的な指示などもなされていませんでした。
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※ヤフオクより

 だから多くの自衛官はその教範を自宅に置いたままにしていたり、ゴミに出したりしていたことがあったのでしょう。そういった古いものが流れて販売されているわけです。冷戦時代あたりは我が国を取り巻く周辺環境もこれほど危機的ではなく、このような状態がまかり通っていたのです。
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※ヤフオクより

 周辺事態が厳しくなるにつれ、我が国も特定秘密情報保護法を制定し、最低限ではありますが秘密漏洩を止める仕組みをつくりました。2015年には元東部方面総監が現職自衛官を通じ、ロシアスパイへ部内資料を流出させた事件で書類送検されています。  2007年には海上自衛隊の3等海佐がイージス艦についての特別防衛秘密を流出させる事件で逮捕されています。現実として、自衛隊内部の情報を知るためにスパイが我が国の中に入っていることはこの2つの事件でわかると思います。スパイは現実に我が国の中に存在し、今この瞬間も暗躍しているのです。  教範程度では秘密漏洩にあたるとは言えないかもしれませんが、そもそも自衛隊内部の資料が外部に流れ出すことは問題だと言わざるを得ません。 ●陸上自衛隊 陸上幕僚監部 教範 『情報教範(草案)』昭和32年 ●陸上自衛隊 教範 平成7年発行 各個の戦闘訓練 ●陸上自衛隊 教範 重迫中隊 HMCo 平成元年発行 重迫撃砲中隊 ●陸上自衛隊教範 教本 軽機関銃 LMG 平成6年発行 5.56mm機関銃MINIMI  ちょっと調べるだけでもこういった出品記録が目に入りました。自衛隊の戦闘方法や武器の取り扱い方法などが記されていると思われます。しかし、法律も規則もなかった時代のものに対して規制はできません。特定秘密情報保護法の施行は平成26年10月です。この法律でも本当にわずかな部分の秘密漏洩についてしか取り締まれませんが、それでも「取り締まる意思」を示した意味は大きいと思います。今までがザルすぎたんです。  小さな情報保全についていちいち法律を作るのでは時間がかかります。だから、手っ取り早く秘密を守るために対処するシステムを作ればいいのではないかと思います。
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秘密漏洩を防ぐためのシステム
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