自衛隊の廃棄物がオークションで売られている謎
「自衛隊ができない50のこと 49」
ネットオークションには時折、自衛隊の物品が出品されています。自衛隊の部隊名のついたタオルやキーホルダー等のごく普通のお土産品、新古品から中古、ジャンク品まで様々なものがあり、掘り出し物もあるので見ていて楽しいものです。しかし、この画像の「閃光弾、ダミー弾頭付き」や「対戦車 RPG-7用の弾頭」という商品は、普通の人が見るとギョッとしますよね。
ネットオークションに出品されているものは雷管や火薬を抜かれた使用できない中古品が多く、その状態のものは警察でも「ジャンク品」扱いとし、「使用不可能なモノ」と考えているようです。ちょっと不安になった人もこれでほっとするんじゃないでしょうか。問題はないようです。
ただ、気になるのはその出所です。自衛隊員が自衛隊の備品を盗んで横流しした場合は、横領罪や窃盗罪となります。明確な「窃盗などの犯罪による自衛隊からの流出品」や「情報保全事故になるような重大な秘密に値するもの」であれば、即座に捜査が開始されます。
そういった事件性のあるものはオークション上にはまず存在しません、たいていは廃棄されて時間が経ったものが多いようです。こういったミリタリージャンク品には自衛隊だけでなく、旧日本軍のものも多く出品されます。自衛隊の物品管理が今ほど徹底されていない時代に出た中古ジャンク品も多いようです。
しかし、たまに「最近まで使われていたであろうもの」も出品されています。このことで自衛隊内の物品の廃棄処理システムに不安を感じてしまうのです。経理上、安く処分できることを最優先に考えているのではないかと心配です。他の行政庁のように安い業者を使ってできるだけコストをケチることを優先するような選定基準を自衛隊に課すのは愚の骨頂です。
安全保障に関する廃棄物処理が適切に行われていないとすれば大きな問題です。まさか、そんなトンデモないことは無いと思いますが、廃棄された武器弾薬が適正に処理されずどこかにあるとしたら恐ろしいことですよね。自衛隊の廃棄物処理についてもう一度チェックし、見直す必要があると思うのです。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot
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『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』 日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる…… |
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