更新日:2023年03月12日 09:26
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わかって飲みたいグレーンウイスキーの魅力。シングルモルトの廉価版は大間違い

知っておきたい日本のグレーンウイスキー

 サントリーの「知多」は知多半島にある知多蒸留所で作られています。知多では、連続式蒸留塔を組み合わせて酒質の異なる原酒を造り出しています。2塔使ったヘビー、3塔使ったミディアム、4塔つかったライトです。ちなみに、白州蒸留所にも2013年に連続式蒸留器が導入されています。知多と比べると格段に少ない量しか蒸留できないので、個性的なウイスキーを作るため試験的に運用しているようです。

知多蒸留所のウェブサイト

 ニッカウヰスキーの「カフェグレーン」は、宮城峡蒸溜所で作られています。このカフェはコーヒーという意味ではなく、カフェ式の連続式蒸留器を利用していることを表します。カフェ式連続式蒸留器は1830年頃発明された伝統的なもので、ニッカウヰスキー創業者である竹鶴政孝が導入した時点でも旧式でした。しかし、古いからこそ、蒸留しきれずエキス分が残ってしまうというデメリットにあえて着目し、新たな味わいと香りを生み出そうとしたのです。

宮城峡のウェブサイト

 もちろん、スコットランドにもグレーンウイスキーを作る蒸留所があります。有名どころでは、キャメロン・ブリッジ蒸留所やインバーゴードン蒸留所などがあります。どちらも長期間熟成すると、とてつもなく美味しいウイスキーになります。30年、40年を超えてくると、飲み慣れていない人だとシングルモルトウイスキーだと感じるかもしれません。  以上の通り、グレーンウイスキーをシングルモルトの薄い版だとか、高価なシングルモルトをかさ増しするための安いお酒というのは間違いです。蒸留システムの違いにより、味のベースとなるウイスキーとなり、幅広い人たちが楽しめるようなブレンデッドウイスキーを支えているのです。  今日のバーでグレーンウイスキーを見つけたら、ぜひ単品で飲んでみてください。若くて安いグレーンウイスキーなら、マイルドで穀物の味が楽しめます。長熟ものに出会える幸運に見舞われたなら、ちょっと贅沢して至福のひとときを過ごしてはいかがでしょうか。
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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