わかって飲みたいグレーンウイスキーの魅力。シングルモルトの廉価版は大間違い
― 30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン第42回 ―
ニッカの「カフェグレーン」やサントリーの「知多」は、どちらもグレーンウイスキーです。このグレーンウイスキーとシングルモルトウイスキーをブレンドしたものが、ブレンデッドウイスキーとなります。
グレーンウイスキーは、原材料に小麦や大麦、トウモロコシといった穀類を使っており、蒸留も連続式蒸留器で行います。シングルモルトウイスキーは大麦のみを使い、単式蒸留器で複数回蒸留します。シングルモルトウイスキーは、濃厚で蒸留所によって味わいが大きく異なるため、ラウドスピリッツと呼ばれます。それに対して、風味が穏やかなグレーンウイスキーはサイレントスピリッツと呼ばれています。
グレーンウイスキーはバーボンに近いとも言えますが、バーボンはアメリカで作る必要がありますし、トウモロコシを51%以上使う必要があります。熟成も新品のオーク樽を使わなければなりません。基本的には別物と考えてよいでしょう。
蒸留器についても押さえておきましょう。シングルモルトウイスキーを作るときに使われる単式蒸留器は、ポットスチルと呼ばれます。やかんのお化けのような形をした蒸留器の中にもろみを入れて80度くらいに加熱し、水より先に沸騰するアルコール分を取り出して冷却し、液体化させます。このときのアルコール度数は65~70度です。
連続式蒸留器はもろみ塔と精留塔が組み合わされ、塔の中にはたくさんの棚があります。上からはもろみを流し、下からは熱した蒸気を送ります。もろみから蒸発した気体を冷却して、液体化させます。この方式で取り出した液体のアルコール度数は94度にまで高まります。
連続式蒸留器は構造的に大量生産が可能で、ウイスキーのコストダウンが可能になります。蒸留できるアルコール度数が高いので、材料の風味が単式蒸留ほど濃く出ません。そのため、個性の強いシングルモルトと合わせて、飲みやすくするように使われているのです。
原材料だけじゃないシングルモルトとの違いとは?
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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