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要介護5の神足裕司さん、車椅子でハワイへ。誰もが自然に手伝ってくれるハワイ

「万が一」「念のため」で膨れる荷物

 とはいっても、要介護5で車椅子、がんサバイバーの旅行は、事前準備から大変だ。  まずは飛行機。ハワイアンエアを予約し、車椅子であることを電話で伝えた。機内でも車椅子が必要なのか、心臓にペースメーカーは入っているかなど詳細を聞かれたというが、承諾書はとくに必要なかった。  続いてホテル選び。条件は「バリアフリールームがあること」と「プールにリフトがあること」。そして、「シャワーチェアが完備されていること」。シャワーチェアは自立歩行が難しい神足さんにとって、入浴時の必需品。バリアフリーを謳っていても、シャワーチェアがない施設は多い。  日程が独立記念日と重なったためホテルはどこも満室。選択肢が少ないなか、口コミを丹念にチェックして、ホテルの予約も完了。
神足裕司さんハワイ旅行 ホテルのバスルーム

予約したホテルのバスルーム。「アメリカのシャワーチェアは粗雑(笑)。大きいけど」と明子さん

 レンタカーも手配し、忘れてはいけないのが現地で障害者専用パーキングに停めるための許可証(パーキングプラカード)の申請だ。 「たしか、以前は日本の許可証で大丈夫だったんだけど、今はちゃんと用意しなきゃダメだと言われて。ハワイ州観光局のサイトから情報を見つけて警察に申し込むと、10日ぐらいで郵送で自宅に届きました」
神足裕司さんハワイ旅行 許可証

申請した現地の許可証だけでなく、日本で使用している許可証も必要。ふたつをセットにしてダッシュボードの上に

 そしてなにより、大変だったのが荷物だ。とくに、薬の量がとんでもないことに。 「赤ちゃん連れの旅行も同じですけど、向こうの薬で合わなかったとき、私たち以上に大変になるので。普段飲んでいる薬に加え、腹痛や発熱、下痢やアレルギーなど、想定しうる体調に備えて、裕司に合った薬を揃えたら山盛りになっちゃって」
神足裕司さんハワイ旅行 大量の薬

「万が一」「念のため」を想定していくと、大量になった薬。幸いにも、日々の服用薬以外を使うことはなかった

 さらには、手動の吸引カテーテルとパルスオキシメーター(指につけて血中の酸素の量を見る機械)と血圧計も用意。 「往診の先生があらゆることを想定して万全を期して下さいました。『念のため』と、頭に水頭症のバルブが埋め込まれていること、大量の薬が必要な理由、くも膜下出血の治療歴とガンの治療中であるということを英文で書いてくださったんです。出発前日に自宅に来てくれて、一通りチェックして『これなら大丈夫』とお墨付きをいただきました」  おむつに防水シーツも詰め込んで、荷物は機内持ち込みも含め大小スーツケース4個!  さらに、砂浜でも車椅子を引きやすい「JINRIKI」(けん引式 車いす補助装置)も加わって大荷物に。しかし、これで準備万端。出発となった。
神足裕司さんハワイ旅行「JINRIKI」(けん引式 車いす補助装置)

これが「JINRIKI」。芝生や砂利道、砂浜などの移動がスムーズになる

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車椅子も「普通」
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父と息子の大闘病日記

新しい日常を築いていく過程を父と息子がそれぞれの立場からつづる

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