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要介護5の神足裕司さん、車椅子でハワイへ。誰もが自然に手伝ってくれるハワイ

 いま、「ユニバーサルツーリズム」の促進が叫ばれている。ユニバーサルツーリズムとは「すべての人が楽しめるよう創られた旅行」「高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行」のこと。どんな人も旅を楽しめたら素敵だとは思うけれど、そこには何が必要なのか?
神足さん@ハワイ

神足裕司さん、ハワイで

 7月上旬、コラムニストの神足裕司さんがハワイ旅行を敢行したという。神足さんは週刊SPA!の連載陣だった2011年9月に、くも膜下出血で倒れ要介護5となった。そして、2016年には大腸がんも見つかり、以降、入退院を繰り返している。  そんな彼の旅はどんなものだったのか? 神足さんと妻の明子さんに話を聞いた。

それでも旅に行きたい理由

 現在、朝日新聞デジタルなど複数の連載を抱える神足さん。取材や会食など外出の機会も多く、国内旅行も何度か経験している。しかし、車椅子での海外旅行ははじめてだ。 「7月中旬に胆嚢の切除手術が決まっていて、大変な手術になることもわかっていました。だから、その前に旅行でも行こうかって。あと、いま、裕司は撮影したくて仕方ないんですよね」と明子さん。  じつは神足さんは現在、VRにハマっている。月に2~3回、東京大学で行われているワークショップに参加し、360度カメラでの撮影テクニックを習得中なのだ。ワークショップを主宰する登嶋健太さんは、施設の高齢者らにVR旅行を提供しつつ、元気な高齢者に映像の撮影者になってもらうというプロジェクトを進めている人物。  その活動に刺激を受けて、神足さんも「思い出の地を自分で撮影しておきたい」という夢を抱くようになったのだそう。ハワイはかつて、家族で毎年のように訪れた思い出の地のひとつなのだ。 「本当に大丈夫?」「無理なのでは?」という周囲の心配はあった。が、脳外科と消化器内科の主治医は「いいね~」と拍子抜けするほどあっさりOK。 「私一人では不安」という明子さんをサポートすべく、娘の文子さんと明子さんの友達、VRの先生・登嶋さんも同行。5泊7日のハワイ旅行が決まった。
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「万が一」「念のため」で膨れる荷物
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父と息子の大闘病日記

新しい日常を築いていく過程を父と息子がそれぞれの立場からつづる

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