更新日:2023年04月20日 12:19
カーライフ

大井JCT通行止め解除で見えた「首都高老朽化」の光と影

6700億円かけて都内4か所で進められる首都高の造り直し

 首都高では、この羽田線東品川桟橋付近(1.9km)の他に、4か所(合計約6km)の区間が今後造り直し作業に入り、合計55kmの区間が大規模な修繕工事を施されることが決まっている。そのための費用(合計6700億円)は、2065年までに料金収入で返済する計画が組まれている。  気になるのは残る4か所のうち、都心環状線の2か所と渋谷線の1か所、合計3か所に関しては、羽田線のようなう回路を設けるスペースがないため、工事中は片側1車線にせざるを得ない点だ(羽田線大師付近は短期の全面通行止めを計画中)。C2の全線開通によって首都高の流れは大幅にスムーズになったが、部分的にでも2車線が1車線になれば、そこをネックに大渋滞が発生するのは必定。しかも工事は数年におよぶ長期になる。東京オリンピック期間中の渋滞対策のように、料金を一律1000円アップ(※未決定)するわけにも行かない。考えただけで気分が重くなる。

首都高速道路の更新計画(平成25年12月25日発表の首都高資料より)。当初は合計6300億円だったが、その後金額が増え6700億円に

 もうひとつの不安は、「造り直しが必要な区間は、これだけじゃ済まないだろう」というものだ。人間がいつか必ず死ぬように、構造物にも寿命がある。首都高も、いつかはすべての区間を造り直す必要があるはずだ。  しかし首都高側は、それについては、「今のところ考えていません」という。決定済みの大規模更新・大規模修繕以外の区間は、これまで通りの点検・補修で長期間維持できると見ている。長期間とはいったいどれくらいのことかというと、「50年、100年という単位です」とのこと。じゃ100年後には造り直すのかというと、「そこまではわかりません」だそうだ。  確かに、100年後のことなんて誰にもわからない。100年後にはクルマは空を飛んでいるかもしれないし、逆に人類が絶滅しているかもしれない。もちろん私は確実に死んでいる。そこまで考えてもしょうがないってことですね!  とりあえずの心配は、いずれ首都高の3区間が、しばらく片側1車線になっちゃうということで、ご理解をお願いします。 取材・文/清水草一
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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