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知ってるとツウぶれる、酒の味を大きく左右する樽の違い

樽の使い回しがダメなバーボン樽の行方

 バーボンは法律で新樽を使うように決められていますので、樽の使い回しは禁止されています。とはいえ、もちろん樽が捨てられてしまうわけではありません。全世界の他の蒸留所に販売され、他のお酒の熟成に活用されています。他には、シェリーの熟成に使用した樽も熟成に利用されています。  バーボン樽で熟成したウイスキーにはバニラ香が付き、シェリー樽で熟成するとフルーティで華やかなウイスキーになります。バーボンやシェリーを出した直後に詰めたものはファーストフィルと呼び、樽の個性が一番強く表れます。何年か熟成させて取り出したあと、別の原酒を入れて熟成させるならセカンドフィルとなります。2回目以降の詰め替えの場合はまとめてリフィル樽と呼ぶこともあります。  一般的にはシェリー樽を使ったウイスキーが人気ですが、どの樽をどのタイミングで何年利用するかは、作り手の腕の見せ所です。手間をかけるほどコストも上がりますが、狙いが的中したときのボトルは最高に美味しくなります。  お酒を熟成する途中で、樽を変えることもあります。たとえば、以前紹介した「GLENMORANGIE NECTAR D’OR(グレンモーレンジ ネクタードール)」の場合は、10年間バーボン樽で熟成させたあと、貴腐ワインのソーテルヌワインを熟成させた樽に詰め替えて2年間熟成させています。

「GLENMORANGIE NECTAR D’OR」はバーボン樽で10年、その後ソーテルヌワイン樽で2年熟成しています

 ウイスキーを飲んで、その香りや味わいから利用している樽がわかるようになると、さらに楽しめるようになります。今晩、バーでウイスキーを飲むときには、樽も気にしながら頼んでみてはいかがでしょうか。
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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