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「ネクター=桃の味」と思うのは日本人だけ!知らないとバーで恥をかくその意味は?

― 第65回 ―  筆者は7年前、五反田のバーで「GLENMORANGIE NECTAR D’OR(グレンモーレンジ・ネクタードール)」を初めて飲んだのですが、その時失笑ものの失態を晒したので、ナレッジをシェアしたいと思います。  これどうですか、と出されたボトルのラベルを見て、「桃のニュアンスがあるんですか?」と質問したのです。子供の頃、不二家のネクターが好きだったので、「NECTAR」の文字を見て桃と関連付けました。

「GLENMORANGIE NECTAR D’OR 12年」。価格は8000円前後です

 ちなみに、「NECTAR」を冠するお酒はたくさんあります。ウイームスのボトラーズから発売されているブレンデッドモルト「NECTAR GROVE(ネクター・グローブ)」や90年代に終売になっているブレンデッドスコッチ「Highland Nectar(ハイランド・ネクター)」などもあります。  ベルギーには「ザ・ネクター」というボトラーズブランドを扱うネクター社があります(ボトラーズに関しては第59回「ウィスキー好きならチャレンジしたい「ボトラーズ」の魅力」を参照)。  シャンパンなら「MOET&CHANDON NECTAR IMPERIAL(モエ・エ・シャンドン ネクター アンペリアル)」、日本では蜂蜜酒の「NektaR.jp」なども作られています。

「NektaR.jp」は蜂蜜から作られるすっきりとしたお酒。とても美味しいです

 ここで1つ覚えていただきたいのは、「NECTAR(ネクター/ネクタル)」は桃のジュースという意味ではない、ということです。 「NECTAR」はギリシア神話における神々の飲み物です。神々の食べ物であるアンブロシアと共に、口にすれば不老不死となる霊酒です。インド神話に出てくる神々の飲み物「SOMA(ソーマ)」は知っていましたが、ネクターは完全に桃のジュースだと思い込んでいたのです。  ウィスキーの中には、桃のニュアンスのあるものもあります。しかし、繰り返しになりますが「NECTAR」と桃は関係ありません。  ただ、神々の酒という名前を付けるのですから、そのお酒はなかなかな力を入れて作っていると考えられます。筆者が飲んだ「GLENMORANGIE NECTAR D’OR 12年」も、ソーテルヌワインの樽で熟成した逸品です。ホームページのテイスティングコメント「レモンタルトのように爽やかでクリーミーな香りと、濃厚かつ滑らかなテクスチャーが特徴」の通りでした。
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ネクターといえば日本人には不二家だが
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