更新日:2019年10月26日 16:52
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マーケ業界人がよく話す「ファーストペンギン」話の嘘。誰だって本当は危険を冒したくない

近い将来、例え話は機能しなくなり、マスコンテンツの価値は爆発的に上がる

高瀬:少し話が変わりますけど、僕がテレビ局に入った当時、上司の人たちが共通言語にしてる例え話って映画だったんです。その頃は20代前半で昔の映画はそんなにたくさん見ていなかったし、何言ってるかわからなかった。だけど、僕らの世代だけで企画会議をすると、例え話はテレビ番組になっていた。この差は大きくて。その時から、そのうちみんなゲームでコンテンツを語るようになるよね、と話をしていて。 中島:なるほど。僕の世代はテレビよりゲームのほうでやってました。 高瀬:そうですよね。もっと言うと、YouTuberだろうし、ソシャゲになってきますよね。 中島:そうですね。段々、例え話自体が機能しなくなると思っています。仮にYouTuberで、「SUSURU TV.の…」って例えても、刺さる人には刺さるんですけど、ニッチだから知らない人もいる。マスコンテンツみたいなものはどんどん消えていって。 高瀬:なくなる、なくなる。それは、間違いない。 中島:だからこそ、その人のことをちゃんと知って、わかるようにしてあげるのはすごく大事になってきますよね。「この話をしておけばOK!」みたいなものがあると、社会って上手に回るじゃないですか。僕も人と話す時に例え話をしますけど、初めて会うと前半は全然できないですから。相手が何を見て育っていて、どういう世界観かがわからないので。 高瀬:たしかに。一方でマスコンテンツの価値は、爆発的に上がりますよね。残ってるものになるけど。ジャイアンツとかディズニーランドとか。

僕は、明日のことを考えないんですよ。「波」があればいいかなって感じです(中島氏)

中島:そうですね。一度大きいパイを占めたら、それは強いよね、という。「なんで宗教は残ってるの?」みたいな話ですよね。 高瀬:マスコンテンツが減ってくのは必然だと思うんだけど、一方で「なんでだろう?」と。テクノロジーの進歩はあるだろうけど、人間がそもそも求めていたり、見えざるものの意思としてそうなっていくわけじゃないですか。基本、人間って民度も上がっているし、幸福に向かって進んでると思ってるので、もしかしたら、人間が根源的にストレスからの解放を願っているのかもしれない。マスからの解放によってストレスを感じる機会が減る、という仮説もある。 中島:そうですね。実際、僕の下の世代はみんなYouTubeを見てる。そして、みんな見てるYouTuberが違う。見る情報が違えば、感じるものも違う。 高瀬:笑いを共有できる幸せ、ってあるなと思っていて。世代に関係なく共有できるものがなくなってくるのは、「どうなんだろう」と思ってたんだけど。そもそもない方が幸せだという風に考えると、そうなんだなと思って。 中島:共感と反感は同じですからね。僕は基本、共感はしないですね。しそうだな、と思ってもしないようにしてるというか。人は「同じだ」と思うと、理解しようとしなくなるから。
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