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ハロウィンで今年も大混乱?日本の青年層の知性の低さに絶望/古谷経衡

驚くべき青年層の低民度 ハロウィン栄えて国滅ぶ

 今年もまたクレイジーハロウィンの季節がやってきた。
渋谷ハロウィン

近年の渋谷の様子。仮装した若者たちが常軌を逸した宴を繰り広げるハロウィン。今年はコンビニチェーンが酒類販売を自粛するなど自衛策をとっているものの、若者たちの行動を抑えられる見込みはない

 多くの日本人が意図せずに、あるいは意図的に勘違いしているが、全世界的にハロウィンは、幼稚園児などが中心となって学校施設内等で菓子を配るという、読んで字のごとく「子供のママごと」。大の大人が酒を飲んで繁華街に繰り出して乱痴気騒ぎをするという行為がハロウィンの名を冠して行われているのは、世界広しといえども日本だけである。  昨年(’18年)のハロウィンでは、渋谷センター街(宇田川町)で軽トラックを集団でひっくり返すなどしたハロウィン参加者4名が、暴力法(集団的器物損壊)違反で逮捕された。暴力法はもともと反政府活動(急進的左翼や共産主義者等)を取り締まるために大正時代に作られた刑法だが、これが適応されるとは世も末の感があった。  警視庁は軽トラ横転に関わった15名の男(17~37歳)を防犯カメラ画像等で特定。そのうち特に悪質性が高いと判断した前記4名(20~27歳)を検挙したわけだが、我が国の10代後半から30代後半までの「広義」の青年の民度がこれほど低いとは、驚きである。 (編集部注:渋谷区は今年、ハロウィン期間中の路上飲酒を禁じる条例を作り、警備等に1億円以上を投入。去年ほど荒れないと思われるが、ハロウィン前の週末26日にも機動隊数百人が配置された)

日本の青年層の知性の低さに絶望

 ハロウィンにこれだけ暴力的になる我が国の青年層は、政治的事案には蚊ほどの声も出さないのも、さらに輪をかけて異常である。この世代の国政投票率はおおむね20~40%と異様に低い。韓国の蝋燭デモ、台湾のひまわり学連、そして香港の雨傘運動。  日本周辺の近代国家に住む若者は、自らが主権者であることを痛烈に自覚し、直接的に政府や政策を動かす可能性のあるデモや抗議活動を、SNSを駆使して行っている。日本の青年層は、スマホゲームと愚にもつかないユーチューバーの動画に夢中になり、自分の住んでいる自治体の動向にさえ関心がない。 「若者は自民党を支持している」と巷間言われるが、はっきり言って批判的精神が欠如しているからであって積極的動機はない。もっと言えば、投票行動の尺度となる歴史や民族的体験について無知だからそうなっているにすぎない。せいぜい関心があるのは消費税とタピオカミルクティーくらいのもの。  自国の情勢も世界の潮流も歴史にも無知な青年層が多数を占め、その青年層がこのことに疑問を持ちえない国も珍しい。現代的国家の青年層は、自国の歴史や政治情勢に常に敏感である。どの国でも、青年層の所得が停滞気味で、政治の動向が自らの生活に直結するとの危機意識があるためである。  筆者は複数の国で若者と話す機会(多くは通訳を通じて)を有すが、どの国の若者も、途上国か先進国かを問わず、政治や社会、国際情勢全般について雄弁に答える。しかし日本の青年層は「知らない」「わからない」の連呼。はっきり言って、幼稚園児と話しているように思う。  まあだからこそ、大の大人が児戯であるハロウィンに狂喜するのは道理というわけだ。正直言って、この国の青年層の全般的な幼児性に絶望している。たまに生きのいい青年に出会うが、そうなると決まって筆者と同じ感想をこの国に対して抱いている。「もう日本は終わりですよ」。
(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数
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