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六代目山口組No.2が「あいつだけは許さない」と嫌う神戸の重鎮

「あのハゲだけは絶対に許さん」

 休む間もなく最前線に復帰した高山氏は、先述したように人事の刷新に手を付けた。敵対する神戸山口組から出戻った大物組長を2人、直系組長に昇格させたのだ。 「長期服役だったぶん、情報のズレを危ぶむ声はたしかにありました。でも実際の高山若頭は、外にいる我々以上に細かいところまで情報を把握していた。各都道府県警の捜査員ですら高山若頭をして『稀代の傑物』と言わしめたそうですから。  この抗争劇で組員それぞれがどんな動きをしていたのか、答え合わせをしています。その結果としてまず出されたのが三代目杉本組の山田組長と二代目兼一会の植野会長の昇格でした。人事改革はこれからも続くと思われます」(X氏)  高山若頭は、神戸山口組の解散に向けてあらゆる手を打っていくと見られている。特筆すべきは、神戸山口組の立ち上げから深く関与したある重鎮への感情だ。 「山口組分裂の絵を描いた張本人なのですが、分裂劇を主導しただけでなく、情報戦も担当しました。五代目時代に組長秘書を努めていた関係でメディアとのパイプが太く、分裂当初にイニシアチブをとるためデマを流しまくったのもこの人。『脱税で司組長に捜査がはいる』と本家に危機が迫ってるようなデマをジャーナリストに流し、さらには『皇居で銃をぶっ放せと言った』と御用メディアやSNSに書かせて、若いものを焚き付けた。皇居で銃を打てなんて言うわけがない。山口組は本家に365日欠かさず日本国旗を掲げる習慣がありますから。  こうした偽の情報を喜々として文字にするジャーナリストがいることにも驚きます。これまで彼らが書いてきた通りになってますか? なってないですよね。  高山若頭からすれば、司の親分を侮辱されたことが何より許せない。それを広くメディアに報じさせたこの重鎮への怒りが一番ひどいようです。『他の者は許しても、あのハゲは絶対に許さん』と激怒しているようです」(X氏)

極心連合会の橋本会長に引退説が浮上

 分裂した山口組は。今後どのような道を進むのだろうか。それについて、高山氏の脳内にはすでに克明な設計図が描かれているようだ。 「神戸山口組組長の井上については、『酒でも飲まないとやってられないだろ、もう』と、向かってくる敵として認識していない様子です。大勢は決したということ。今後、増えるであろう出戻りの組員をどう振り分けていくのか。また、現存の執行部の人事をどう替えていくのか。さらには、今後ヤクザ業界が時代にどう適応していくのか――すべて頭の中に入ってると思います」(X氏)  その意味で、大きな節目となりそうなのが山口組のNo.4である橋本弘文・極心連合会会長の去就だ。橋本会長は山健組の出身で、組長代行まで務めたキャリアの持ち主。直参昇格後は六代目山口組で統括委員長というポストに就き、長きに渡って組織に貢献してきた。ところが、ここへきて橋本会長の引退説が浮上している。 「引退説が本当ならばの話ですが、統括委員長である橋本会長ほどの人物が分裂が収束していない状態で引退するのは、疑問に思ってしまう。引退するならカタがついてからではないか、と。ただ一方で、橋本会長には神戸山口組に行ってしまったかつての兄弟分たちがいる。彼らに対して『俺も身を引くから、お前たちもここらで進退を決めよう』という、橋本会長なりの心意気に思えてなりません。勝手な憶測ですが、高山若頭もきっと橋本会長の意を汲み取り、引退を承認するのではないでしょうか」(同前)  高山氏が張り巡らせる戦術はあらゆる角度から神戸サイドの切り崩しを促し、重鎮たちの足元から揺さぶっている。これこそが現在進行系で起きている「六神戦争」の実態ではないだろうか。<取材・文/日刊SPA!取材班>
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