更新日:2023年05月15日 13:07
ライフ

最強家族と出会った「葛飾区お花茶屋」の夜/清野とおる×パリッコ

2軒目:アサヒ食堂

 見た目に反して親切だったマスターと絶品料理を堪能した、1軒目でのゆるりとした時間は、嵐の前の静けさ。嵐は、すぐ近くのこの店「アサヒ食堂」で吹き荒れることになるのだった。
お花茶屋

抜群の雰囲気

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店内も味わいの極致

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今回はテーブル席だったけど、この座敷でも飲んでみたいなぁ

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2軒目に乾杯!

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自家製のキムチが絶品

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優しい味の煮込みに癒される

 アサヒ食堂は、女将さんがひとりで切り盛りするアットホームな名店。女将さんにあれこれとお話を伺っていると、隣の席で食事をしていた家族連れが我々に興味を持ったのか、「何かの取材ですか?」と話しかけててきてくれた。何を隠そう、この出会いによって、我々にとってのお花茶屋の夜は一生忘れられないものになったのだった。

小林家との出会い

 ご家族は、小林家という。ご主人と、奥様、娘さん。満腹になって先に帰ってしまったようだが、さっきまでは息子さんもいたそうで、金曜の夜に一家で外食するのが定番なんだとか。  まるで姉妹と間違えてしまいそうな、美人の奥様と娘さん。どーんと構えて頼りがいにあふれるご主人。全員がほがらかなキャラクターで、この取材にも協力的。 「『SPA!』ってちょっとエロいやつ? 私たちが載るのは袋とじ?」と飛ばしてくる奥様の言葉に、ご主人も娘さんも爆笑している。もはや、こんな理想的な家族、実在するの? って感じだ。  こちらの身分を明かすと、「え〜漫画家さんなんですか? 私描いてみてください!」とフランクにお願いする娘さんに、むしろこっちがヒヤヒヤするも、こころよく受け入れる清野氏。
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「やべぇ、原稿の時より緊張する……」

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「先に言っておきますけど、ここ1軒目じゃないんですよ! あと、机じゃなくて紙を手に持って描いたので!」と、なぜか言い訳の多い清野氏

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「こんな感じで」

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「きゃ〜! 美人!」と親子で大喜び

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最終的に、こんなに仲良くなれました! ※右からふたりめは女将さん

 小林家のみなさんにお花茶屋の街のことをあれこれ聞いていると、ここの他だと「雅」という飲み屋がおすすめだという。ところが、スマホで検索しても情報が出てこない。 奥様:ほんと? じゃあ私たちが案内しようか? ご主人:じゃあ一緒に行くか。俺がおごるよ。 娘さん:お父さん、いっつもお店にいるお客さん全員ぶんおごって帰るんですよ! ご主人:しょうがねぇじゃん。金しかねぇんだから!  ……どこまで大物家族なんだ。おごってもらうなんておそれおおい、というか、むしろこちらが支払ってもいいから、もっと小林家のみなさんと飲みたい! 我々全員の心は一致していた。結果、もちろんこうなる。
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3軒目:小林家おすすめの「雅」
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1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。X(旧ツイッター):@paricco

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