時空を超えた「無縁坂」。葛飾区金町を清野とおる×パリッコが歩く
清野とおる×パリッコの 飲みに行こうよ!赤じゃない街にさ!【金町後編】
2019年1月、東京都の北端にある赤羽という地を舞台とした壮大なるサーガ「東京都北区赤羽」シリーズを完結させた漫画家、清野とおる。
作品の完結という人生な大きな節目を迎えた現在、肉体的にも精神的にも、少しの間、赤羽の街と距離を置くことの必要性を感じているそうだ。
そこで、氏が赤羽の連載を始める前からの飲み仲間であるライター、パリッコと、地名に「赤」以外の色が付く街へ繰り出し、見知らぬ店から店へとふらり飲み歩き、魂のリフレッシュを図ろう! そしてあわよくば、新たなる新天地を見つけてしまおう!が趣旨の本連載。
前回、葛飾区金町にて、清野氏が大尊敬しており、個人的にも交流があったという伝説の貸本漫画家、故・池川伸治先生の奥様と娘さんにお会いし、清野氏が池川先生と初めて会った日に連れていってもらったスナックが判明した。
それは、金町駅から約2kmほど北上した場所にある「スナック 八重」。駅から遠く、その日に向かうには時間が遅い。そこで我々は、後日、再び金町にやってきた。今度こそ、思い出のスナックで飲むためにーー。
パリッコ:八重、どんなスナックでした?
清野とおる(以下、清野):当時の僕は22、23歳の若造でしたからね。憧れの池川先生にも緊張してたし、スナックという異空間にも緊張してたので、何を話したかとかはあんまり覚えてないんですよ。ただ、ママが優しく迎え入れてくれたことだけは記憶してます。
パリッコ:そのくらいの年齢だと、スナックがどういう店かっていうこと自体、知らない人のほうが多いですよね。
清野:そういえば、その時はまだ赤羽に引っ越す前だったし、人生初のスナックが「八重」ですよ。
パリッコ:今や居酒屋&スナック攻略術(※1)を漫画に描くほどになった清野さんが(笑)。原点じゃないですか。めちゃくちゃ貴重なお店だ。
清野:それともうひとつ、僕がさだまさしさんの歌が好きだと話したら、池川先生が「無縁坂」を歌ってくれて、緊張しながら聴いた記憶があります。「とおる君も歌うかい?」って先生にすすめられたけど、当時はスナックでカラオケなんて、まず無理な話で。
※1:「Love&Peace~清野流・居酒屋&スナック攻略術~ 2」(白泉社)
とはいえ、いきなり駅から2km歩いてスナックに突入するのは味気ない。まずは、京成金町駅北側の飲み屋街「金町栄通り」をぶらぶらしてみることにする。
清野氏は、この飲み屋街でも池川先生と飲んだ記憶があるそうだ。が、店もあちこち変わってしまっていて、それがどこだったかが定かではない。なんとなく作りが似ている気がするというこの店に入り、ためしに女将さんに池川先生のことを聞いてみるが、残念ながらご存知ないようだった。
次は、前回の金町徘徊の時に前を通り気になっていた「S」という店に。
パリッコ:なんだか、店内を覗いた時の感じから、ちょっとディープな雰囲気を期待しちゃった僕らが悪いんですけど、フツ~に良いお店ですね。
清野:ほんと、ほんと。こんなに美味しくてどうするんだ!
パリッコ:唯一良かったのは、さっきカウンターに座ってた常連のおじさんが、トイレが使用中だったみたいで、しれっと外で立ちションして帰ってきたことくらいかな。ニコニコしながら。
清野:決して「良く」はないですけどね(笑)。
金町へ、再び
1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。X(旧ツイッター):@paricco
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