更新日:2023年05月15日 13:07
ライフ

最強家族と出会った「葛飾区お花茶屋」の夜/清野とおる×パリッコ

3軒目:小林家おすすめの「雅」

お花茶屋

みんなで「雅」へ

お花茶屋

下町ならではの「元祖下町ハイボール」が飲める店だった

お花茶屋

出会いにかんぱ〜い!

お花茶屋

「ハムエッグ」や

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「焼きそば」など、気どらないつまみが確かにうまい

お花茶屋

ふとカウンター席を見ると……常連客を挟むように小林母娘が

清野:パリッコさん、あの光景見てくださいよ。俺は今、恐怖すら覚えています。どんな客でも店主でも、こんな無敵家族に狙われたら一瞬で攻略されちゃうなあって。 パリ:カウンター席のお客さん、完全にあのふたりに掌握されちゃってますね! まるでオセロ。まぁ、挟んでない一番はしっこのおじさんも裏返っちゃってますが(笑)。 清野:そして、それを見ている俺たちも裏返ってる。 パリ:店ごと裏返って小林家色に染まってますわ。

ここでいったん、ご主人のインタビューを挟みます

 突然ではあるが、この店であらためてご主人とゆっくりとお話しさせてもらったところ、小林夫妻に関するドラマチックな事実が判明。そこで突然ではあるけれど、いったんインタビューを挟みます。
お花茶屋

ご主人、小林淳さん

「オレもママも秋田出身なんだよね。おれは高校を卒業してすぐ、学校で紹介してもらった埼玉の朝霞にある会社に勤めることになった。当時住んでたのは川越。それからはだいたい東京のこっち側、小岩とか葛西あたりを転々としてたんだけど、同郷の縁で友達に紹介されて、彼女と1~2年くらい付き合ってた時期があった。だけど、まだ携帯電話もない時代でしょう。いつのまにか自然消滅のような感じで別れてしまったんだよね。  で、それから20数年後のことなんだけど、ママの同級生が秋田の老人ホームで働いてたの。その人がオレとも知り合いで、そのことが判明して懐かしくなったんだろうね。「友達に、あなたに会いたいって言ってる人がいるよ」って連絡をもらった。それがママだった。めちゃくちゃ久しぶりに電話して、「最近どうしてるの?」「いちど結婚したんだけど旦那とは別れて、今は娘と息子と河口湖で暮らしてるよ~」なんてやりとりをしたのが、5年前くらい。  自分でも本当、漫画みたいだなって思うんだけど、そうやって再会して、結婚して、みんなで一緒に住むようになった。一緒に住みはじめてまだ2年くらいだけど、こうしてひとつの家族として過ごさせてもらっているのは、本当にありがたいよね」  ドラマを超える現実……。どこまですごい家族なんだ。今夜お花茶屋に来られて、小林家と出会えたことは、もはや運命。全員がそう確信していた。
お花茶屋

ちなみにこちらの1枚は…

 一緒に写っている青年、なんと、日本語がまったく話せないという韓国からの単身旅行者。ここには何気なくふらりと入ってみただけだそうだが、なぜお花茶屋の、しかもこの店!? さらにこの頃、日韓の関係がかつてないほど最悪の状況となり、連日そのことに関するニュースが報道されていたこともあって、これまた相当なネタのはずなんだけど、小林家の話がすごすぎて脳の処理が追いつかない。磁場が狂いまくってる。と、とにかく、良い旅を!
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4軒目はまさかの…
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1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。X(旧ツイッター):@paricco

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