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「日本は財政破綻する」はウソ…国のB/Sを用いて解説

日本の借金は、ヤバくない借金

 そもそも、日本という国が抱えている「借金」ってなんのことでしょうか。これまで、池上彰さんが100回以上解説していそうな話ですが、ひな壇にいる劇団ひとりさんの気持ちになって改めて耳を傾けてみてください。  日本政府が年間で32兆円発行する国債(公債:約1000兆円※A)は、民間・個人からの借り入れ。 (※A 補足:以下の2つを合わせて「公債」) *国債:税収の不足を補うために、国が発行する債券 *地方債:税収の不足を補うために、地方公共団体が発行する債券  償還が来れば、利回りと共に民間経済に戻されるものです。  国債は債券なので、発行している者にとっては負債ですが、それを保有している側にとっては資産です。貸している側(民間企業や国民)にとっては、いざとなったら返してもらえるお金は資産だよね、ということです。つまり、国の借金が積み上がっている一方で、ほぼそれに見合う資産を日本国民が持っているのだとすれば、問題ないという見方もできます。  つまり、「政府負債」が増えるほど、それ以上に「民間資産」が増えることになるのです。Aくんが、Bくんから借金するほど、Bくんの資産は増えるのです。(補足:増税をすることで国債償還するケースは別。増税により民間預金は「減る」、国債の紹介により預金は「増加」。資産として保有していた国債はなくなり、国民の資産は純減する)

日本政府の金融資産額は…世界一!

 さらに驚くべきは、政府の金融資産の大きさです。なんと、日本政府の金融資産額は、世界一なのです!財務省の平成 29 年度国の財務書類(一般会計・特別会計)を見てみましょう。  日本の金融資産は、現金・預金が約47兆円。これは金庫にある手元資金や、政府が日銀の口座に預けている預金のことで、ここから国家公務員の給料や役所の備品購入、公共事業の工事代金などが支払われます。  それぞれ他の項目も簡単に解説しましょう。 ・有価証券(約118兆円)――有価証券の保有額。 ・貸付金(約112兆円)――特殊法人や独立行政法人などへの貸し付け。 ・運用寄託金(約111兆円)――年金積立金のうち政府が運用している金額。  これらを含めて、結果的に日本政府の金融資産の総額は500兆円近くにものぼるのです。そう、日本は、世界で一番の金融資産額を持つのです!

日本の家計は大丈夫?

 次に、日本国のP/Lを分解してみよう。簡単に言えば日本という国の家計のことです。  国の一年間の支出を表したのが「歳出」です。その内訳を見ると、医療、年金、介護などの費用である「社会保障」が34兆円と、全体の約3割を占めています。さらに、「公共事業」が6.9兆円、「文教及び科学振興」が5.6兆円と続きますが、これらは、民間のB/Sの資産に寄与するものになります。「民間のB/Sの資産に寄与する」とはどういうことでしょうか。  公共投資を例にとってみましょう。  建設需要が拡大すると、ゼネコンの利益が増加しますよね。結果、ゼネコン社員の給料は増えます。ゼネコン社員は日本国民です。つまり、国民の所得も増加する効果があるので、歳出は、民間の経済活動を活発化させるお金でもあるのです。民間の資産が増加すれば、その中から税金として政府の歳入に入る額も増えます。  今の話を簡単にまとめると、以下のようになります。 政府歳出(ゼネコンに橋をつくってもらう) ↓ 公共事業(ゼネコン、橋をつくる) ↓ 民間資産(ゼネコンにお金がたまる) ↓ 税金(ゼネコン社員お金使う、結果的に税金払う) ↓ 政府歳入増加(税収アップ)
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日本の稼ぐ力はどのくらい?
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