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黙って食べる給食「もぐもぐタイム」に強烈な違和感/鴻上尚史

給食の目的は残食率を減らすこと?

 千代田区立麹町中学校の校長先生、工藤勇一さんの著書「学校の『当たり前』をやめた。―生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革」(時事通信社)という素敵な本があります。  この本の中で、工藤さんは、教育とは、「より上位の目的は何か?」を常に問いかけることだと書いています。  例えば、下校中に買い食いをしてはいけないと厳しく指導する時、「より上位の目的は何か?」と問いかけるのです。  教育とは、子供を抑えつけ、どんなにノドが乾いても、飲物を買うことを禁じることではないだろうということです。 給食 給食の目的はなんでしょうか? 食べ残しを減らすことでしょうか。 「残食率を減らすこと」と「楽しく食事をすること」「クラスメイトと食事しながらコミュニケイションすること」は、どちらが「上位の目的」なのでしょうか。  僕は、どう考えても、「残食率」よりは、「食事をしながらコミュニケイションすること」がより上位の目的だと思うのです。  実際に、ニュースでは、「もぐもぐタイム」を取り入れていない学校の先生が「午前中にケンカした児童が、給食を食べながら仲直りすることもありますから」と話していました。  また、「しゃべりに夢中になったら食べきれなくなる。だから、うまく調節しよう」ということを学ぶのも教育だと思うのです。  この連載で、「夏、水筒を持っていても、先生が飲めと許可しないとどんなにノドが乾いていても飲まない小学生」のことを書きました。  この指導を真面目に守った結果が、「電車の運転手が勝手に水を飲んでいた」とか「消防士がコンビニでコーヒーを飲んでいた」と非難する人間を生んでいるんじゃないかと僕は心配します。 「もぐもぐタイム」を小学校1年生から真面目に守り、そのまま6年間育った人間がやがて、「ファミレスで隣のグループはしゃべりながら食べてる。信じられない。うるさい」というクレームをいれる時代が来るんじゃないかと、怯えているのです。
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

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