ライフ

コロナの影響で延期が続き…誰もこない展示室で立ち尽くす2メートル超の長身仏像

あの法律ができるきっかけ?

法隆寺金堂壁画

法隆寺金堂壁画の模写の数々がみられる

 また展示室内各所で見られるのが法隆寺金堂壁画の模写の数々。法隆寺は1993年に、日本で初めて世界遺産に登録された。7世紀に創建された法隆寺の伽藍は、現存する世界最古の木造建築として世界的にも知られている。その中心である金堂にはかつて、素晴らしい壁画が描かれていた。哲学界の巨匠・和辻哲郎をして「この壁画こそは東洋絵画の絶頂である」と言わしめた名品である。 法隆寺金堂壁画 その美麗な壁画を悲劇が襲ったのは1949年。金堂で火災が発生したのだ。解体修理中だったため、仏像などは別の場所に移動されていて被災を免れたが、壁画は焼損してしまった。さらに消火用の太いホースを通すため壁面に開けられた穴は、壁画の如来像の顔面を貫いていたのである。世界に誇る日本の文化と芸術の頂点を失い、多くの日本人の心までもが傷ついた。それから、文化財保護の世論が一気に高まりを見せ、翌1950年には「文化財保護法」が制定された。今年はそれからちょうど70年という節目の年にあたる。私たちが、素晴らしい芸術や遺産を見られるのも、法隆寺金堂壁画の悲劇と、文化財保護法に寄るところが大きい。

賑わう日を心待ちに

法隆寺金堂壁画と百済観音

記念撮影をする筆者(左)と神仏研究家の宮澤やすみ氏

 展示の終わりには、写真スポットがあり、金堂の中心に座す釈迦三尊像や壁画のレプリカと一緒に写真を撮れるようになっている。レプリカといえど、東京藝術大学の最新の技術を駆使した、高度なものだ。今はまだ誰もいないが、コロナ感染の縮小とともに賑わいがやってくる日が待ち遠しい。
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
1
2
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート