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アルコール依存と「発達障害グレーゾーン」の悲しい関係性

グレーゾーンの人はおとなしい人が多い理由

斉藤章佳氏 また、「発達障害グレーゾーンの人はおとなしい人が多い」とも斉藤氏は語る。私はこれまでに確定診断のおりている発達障害当事者とグレーゾーン当事者の両方を取材した経験があるが、確かにグレーゾーン当事者は自己主張が少なくおとなしい方が多かった。 「最近は『カーリング子育て』と言われる親子を見かけることが多いです。これは医師の岩室紳也先生が名付けた言葉で、カーリングのストーンが円滑に滑るよう、親が先回りして障害物を取り除き、過干渉・過保護気味に育てる親子関係です。Dさんの場合もそうでした」  カーリング子育てで育った子どもは常に親の期待を読み取りながら成長してきている。だから、親側からすると「育てやすい子」だが、子ども本人は相当しんどい思いをしているという。その生きづらさがのちに歪んだ形で痴漢や盗撮といった性犯罪や万引きなどの依存症として出てくる場合もあるそうだが、Dさんの場合は一人で飲めるお酒にたどり着いたのではないかとのことだった。 「私が臨床の現場に入った約20年前は、ちょうどADHDやASDという言葉が使われ始めたくらいの頃でした。当時、ASDは男性が多い傾向があったのですが、最近は女性の患者さんもちらほら来るようになりました。依存症に陥ってしまう女性の中にも、顕在化していないだけで、ベースには発達障害や発達障害グレーゾーンの方がいる、というのが最近の臨床の現場で感じることです」  小児科医の熊谷晋一郎先生の有名な言葉に「自立とは依存先を増やすこと」というものがある。しかし、「誰と繋がるかが重要だ」と斉藤氏は指摘する。今、発達障害者をターゲットにした悪質な高額セミナーや詐欺が問題となっており、私も実際に詐欺被害にあった当事者を取材したことがある。そのような組織と繋がってしまっては余計苦しむことになってしまう。
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