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アルコール依存と「発達障害グレーゾーン」の悲しい関係性

アルコール依存にならないために

斉藤章佳氏 これからの季節、新入社員歓迎会などでお酒を飲む機会が増えそうだ。依存症に陥らないため、どうお酒と付き合っていけばいいのだろうか。 「自分のお酒の飲み方が危ないと気づくのは何らかの損失が起こってからだと思います。もしくは周りから指摘されます。Dさんの場合は先輩からお酒のニオイや遅刻や欠勤を指摘されて退職しました。これが社会的損失です。飲んでいる本人はお酒で記憶をなくしていることもありますが、誰かに『ちょっとお酒減らしたら?』と言われたら要注意です。  問題飲酒は、自分が困るか、周りが困るかの2つです。特に飲酒した翌日、周りの視線が冷たかったり、人が離れていったりするのは警告のサインです」  斉藤氏は自分で取り組みやすい方法として、レコーディングダイエットのように飲酒をレコーディングしていくといいと助言する。例えば、飲んだ量をレコーディングしたり、飲みそうになってしまった日は黄色のシール、飲んでしまった日は赤のシール、飲まなかった日は青のシールをカレンダーに貼っていくと、飲み方のパターンが可視化されるという。 「毎日シールを貼っていけば『週末になると黄色が多い』とか『この日は赤がついているのはブラックアウトしたな』とか気づく。でもこれは一人だと続きません。必ず同じ目的を持っている仲間などと一緒にやって、お互いにフィードバックするようにしてください」  お酒の飲みすぎは周りに迷惑をかけると同時に、内臓や脳にもダメージを与えてしまう。発達障害当事者やグレーゾーンの人はただでさえ生きづらさを抱えているため、お酒に頼りたくなる日もあるかもしれない。しかし、アルコール依存症に陥ってあらゆるものを失う前に、専門医療機関に相談してほしい。 <取材・文/姫野桂>
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ、。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)、『ルポ 高学歴発達障害』(ちくま新書)
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