――それじゃあ結局、名目が違うだけで出費の金額はそう変わらないということですね。あと仲介手数料1.1カ月って問題ないのですか？ 「まだ宅建協会から『駄目です』っていうお達しは出ていないので、今のところ仲介手数料は借り手・貸し手の両方から合計１カ月は普通ですし問題ないです。でも一応先ほどの判決ルールには乗っ取っていないので交渉の価値はあります。 　民法改正されたし、裁判のこともあるので組合で周知されたら、今後一般的に仲介料が0.5カ月になる可能性はあると思います。チラシなどの表記は1ヶ月とは書けなくなっています。ただコロナ騒ぎで引っ越しも減り、ますます不動産業界は厳しいですね」 ――最近、現金をプレゼントしているサイトも多いですね。 「例えばフリーレントを1カ月分つけて、大家さんが仲介業者に仲介料や広告費として3カ月分支払うとしますね、そうすると4カ月を大家さんが払うことになるんです。それを2カ月分にして、浮いた金額をお客さまに還元するんです。フリーレントだと家賃がタダにはなるけれど、お金をもらった気はしませんよね。だからやっぱり現金をいますぐくれる方がうれしいのでしょうね」 ――この「定期借家2年」は住める期間が決まってるってことですか？ 「そうです。2年たったら出てってほしいってことですね」 ――それで更新料1カ月分って書いてあります……。 「1年で更新料がかかるのかもしれません。要注意ですね」 ――仲介と媒介って何が違うんですか？ 「賃貸の場合は仲介、売買の場合は媒介と言いますが、実質同じです。あとこの消毒代は値切っていいと思います」 ――サポート費ってなんでしょうか？ 「それも確認した方がいいですね。入ってもらわないと駄目ですって可能性もあるとは思いますが『いりません』と聞いてみるのはいいと思います。サポート代っていうのは、夜間に緊急対応しますとか、そういうやつじゃないかなと思います」 ――マンションの外見から、物件の良し悪しがわかることってありますか？ 「不動産関係者はみな同意見ですが『マンションの雰囲気は大家さんとそっくり』だということ。築浅でも、汚れていたり植木が枯れていたりして手入れがされていないところは要注意です。大家さんの性格が建物に出るんですよ」 ――面白いですね。 「あとは『住む家で運気が決まる』と最近すごく思っています。お笑いの方がテレビで言っていたのですが『儲かっているお笑い芸人さんたちは、必ずある一定の法則の家に住んでいる』って。やっぱり日当たりが良くて明るい家に住んでらっしゃる方は全員売り上げがいいそうですよ。物件選びは運気にも関わってくるので、賢く慎重に行いたいですね」 【尾浦英香（おうら・ひでか）】 満室コンサルタント、空室改善士。株式会社不動産研究所代表。賃貸マンションの営業マンから、大家さんの空室問題を解決する満室コンサルタントに転身。著書に『満室大家さんガラガラ大家さん』『スゴい賃貸経営のツボ』がある。 ＜取材・文／和久井香菜子＞ライター・編集、少女マンガ研究家。スタッフ全員が何らかの障害を持つ会社「合同会社ブラインドライターズ」代表。著書に著名人の戦争体験をまとめた『わたしたちもみんな子どもだった　戦争が日常だった私たちの体験記』（ハツガサ）などがある