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<純烈物語>男所帯で夢を追う純烈に重ねる甲子園を目指した情景<第43回>

山本マネジャー

純烈マネジャー・山本浩光氏

<第43回>男所帯で夢に向かい突き進む純烈を見て蘇る 甲子園を目指したあの頃の情景

 純烈のウリであるラウンドの最中は、山本浩光にとって忙しい時間帯となる。握手や会話だけでなく、そこではメンバーに思い思いのプレゼントを手渡そうとファンが今や遅しと待ち構えている。  健康センターでは靴を履かずにお座敷を歩くことから黒い靴下が多いという。「おばちゃん、これ近くのドンキでまとめ買いしてきたやろ! 紙袋に移し替えてもわかるで」などといじりながら、そのあとに「ありがとな」と笑顔で受け取る酒井一圭。  地方へいくと土地々々の名産品をいただくのが定番で、高原野菜のおいしいところはレタス、米どころではブランド米と現物支給。ベタではあるが、その町へいったという実感が得られるからメンバーも嬉しい。マダム層は「つまらないものですが……」と言いながら百貨店のデパ地下で買ってきた高級和菓子や老舗のせんべいを用意している。  プレゼントそのものがメンバーとのコミュニケーションツールになる。これらを歌いながら受け取り、お礼も言うのだからやはりプロは違う。  3曲も歌えば、4人の左手(右手にはマイク)は紙袋でいっぱいになる。その間、山本は持ちきれなくなったメンバーにスーッと忍び寄るとそれを受け取る。これを何度となく繰り返す。  どちらかというと、こうした小回りを要す二塁手的役どころは身長165cmの新宮崇志こそ向いているのだが、マネジャー魂をメラメラと燃やし続ける山本は194cmの巨体を水飲み鳥のように上げ下げしながら移動する。自分の体で観客の視界を遮らぬようにとの気遣いで、上半身をかがめるのだ。 「山本さんの背中で(麻雀の)卓が囲める」 「電車の中で座ったまま網棚へ置いた荷物に手が届くのを目撃した」  こうした都市伝説をほしいままにしてもおかしくないほどの長身。ラウンドが終わり、メンバーがステージ上へ戻る頃には汗だくとなっていることもある。新宮の証言にあった「0泊2日で東京-八戸間を運転するマネジャーは他のアーティストやグループではなかなか見られない」も、本人に振ると「俺ができることは何かと考えた時に、ちょっとでもメンバーが楽になれるんやったら自分がやらなあかんと思うだけ」となる。  この男たちに懸けると覚悟を決めてからは、物事をポジティブにとらえられるようになった。歌がヘタで音を外したとしても、純烈だからオーディエンスに受け入れてもらえていることもわかってきた。  それが理解できると、ネガティブな要素も楽しく感じられる。ただし、メンバー自身はそこでヨシとはしなかった。その姿勢に打たれた。 「お客さんにはいつも変わらん純烈に映るかもしれませんけど、ずっと見続けているとちょっとした変化がわかるようになるんです。変化とは、つまり成長ですね。伸びたなと思うと、次のステージでは後退することもあった。今でも一進一退なわけですよ。一つの課題をクリアすることで自信がついたり、直後に打ち砕かれて元に戻ったり……。  それを僕がマネジャーになった頃は6人の男所帯でいろんな葛藤を持ちながらやっていて。最初はステージ上の楽しさに惹かれていったのが、いつの間にかうまくいくかどうかハラハラドキドキすることで、こいつらと一緒にいたいねんと思うようになっていましたね」  今でも山本は、MCや取材時に「いらんこと言うんちゃうやろな」とハラハラし、5人体制の頃は開演直前に小田井涼平や友井雄亮の姿が見えず、ドキドキしていたという。そんな日々を送っていると、懐かしい感覚に見舞われる。  男たちが一緒になって、果てしなき夢に向かい突き進んでいく。あのギラついた夏の日に、無心で白球を追いかけた情景が蘇ってきた――。
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清原和博に憧れた小学生時代
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