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<純烈物語>紅白出場曲を生み出した幸耕平の作詞・作曲方法論<第48回>

シングルCDを10万枚売るという、紅白への高い「カベ」

 スーパー銭湯の大広間で「夜空の下で星明りに照らされる君と……」などと口説かれるよりも、その場で部屋の片隅まで手を引っ張られて「結婚しよう!」と言われる方が、純烈の世界観だと幸は確信した。そうした歌詞によって風景が描かれ、どこかで嗅いだことがあるような香しさを漂わせたメロディーが彼女たちをやさしく抱き締める。  ムード歌謡曲であろうとなかろうと、見事なまでの“純烈曲”である。ただ、それだけでは従来のターゲットに届かせただけで終わってしまう。これはあくまでも“相場”だが、紅白へ出るにはシングルCDを10万枚売る……つまりはゴールドディスクにするハードルがある。  どの層に向けてか固定しすぎると、その数字には届かない。紅白を目指すアーティストは、誰もがそのカベと闘っている。 「コンサートに来るお客さんだけでなく“レコード”を買ってくれるターゲットも想定しないと10万枚は超えられない。だから僕は、五十代のマダムだけでなく三十代が聴いてもいいと思えるものを作ろうと思って詞も曲も考えたんです。層を広くするのは難しい? いや、そこはとらえ方だから。『この歌詞に書いてあるのは、私が言われていることだわ』と三十代も思えればいい。  もちろんそうじゃない人もいるだろうけど、そういう層にもわかるように書いたつもり。じっさい、ファン層が若くなったでしょ? それはメンバーにも言われているから、五十代よりも若い層にも届いているはずなんです」  長きに渡り音楽業界で実績を残しながら、作品を生み出すにあたり幸がリスナーの存在を欠かすことはない。結果的に『プロポーズ』は純烈結成以来、初の10万枚超えを現実のものとしたのだった。 撮影/山田耕司(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』が発売

白と黒とハッピー~純烈物語

純烈が成功した戦略と理由がここに
「夢は紅白!親孝行!」を掲げ、長い下積み時代を送ってきた純烈がいかに芸能界にしがみつき、闘ってきたのかを、リーダー酒井のプロレス活動時代から親交のあるライター鈴木健.txtが綴ったノンフィクション


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