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<純烈物語>東京ドーム、そして海外へ……雌伏の時にマネジャーが抱く夢<第47回>

純烈大江戸

<第47回>野球をやっていたからこそのドームという夢。「純烈を海外にブチ込んだら面白くなるでしょ」

 当連載用に酒井一圭を除くメンバーへ、一日のうち順々にインタビューしたことがあった。小田井涼平、後上翔太ときて白川裕二郎がラスト。マネジャーの山本浩光によると「今、ボイトレ(ボイストレーニング)にいっているんで。戻り次第始めてください」とのことだった。  数時間後には、ステージを控えている。リハーサルとは別に、そんな日でもトレーニングをやるものなのかと担当編集者と顔を見合わせた。 「おそらく、やらないと不安になるからそこまでやるんだと思います。強迫観念のようなものですわ。ただ、やることで自信につながるから白川にとってはそれがルーティンなんでしょうね。ひとことで言うなら、白川は真面目ネガティブ人間。基本は明るいけどまっすぐすぎるなと思う部分もある。物事に対し、真剣に取り組む人間だからこそ、まっすぐすぎてシンドいちゃうんかなと思うことがよくあるんです。  歌に関してもカベにブチ当たって乗り越えてきたのは彼の努力だけど、まっすぐぶつかっていくだけではなく開き直れる一面もあればラクになるのにと見ていて思います。でも、そこは彼が持っている責任感だから一概には言えないんでしょうけどね」  特撮俳優からまったく畑違いの歌手になった白川。純烈の活動を続けていく中で、次第にリードボーカルとしての自我が芽生えていった。  いつまでも素人臭さを売りにしていたら、現在の純烈はなかった。パブリックイメージはそうだとしても、裏では地道に実力をあげていかなければこの世界で通用しない。  紅白歌合戦に出場できるにたり得るスキルをつける必要があった。その点においてもっとも比重がかかるのは、言うまでもなくメインボーカリストの白川だ。  あくまでもザックリした言い回しではあるが、純烈の実力=白川の実力、となる。最初は右も左もわからなかったからグループの一人として歌っている感覚だったが、気がつけば歌い手として伸びたいと思う自分がいた。

その時、白川は泣いていた

 その中で、山本の言う「一進一退」を繰り返す。己に課したハードルをクリアできれば自信がつく。だが、次のステージでは共演した歌手の実力をまざまざと見せつけられ、打ち砕かれる。 「何年か前、テレビ番組で明らかに対比されたなと思うことがあったんです。それは別にふっかけられたわけではないんですけど、誰が見ても白川はかなわないと見えてしまった瞬間があって。番組を見ていた視聴者にもその差が伝わっていたと思います。白川は……泣いてましたねえ。そういうことを何度も経験しているんです」  口には出さなかったものの、山本の顔には「そんなやつを見ていたら、懸けたいって思うやないですか! わかるでしょ?」と書いてあった。ボイトレに限らず、メインボーカルとして一人でやるべきことをやっている時間は白川が一番多い。  おそらく、自分にNOを課せられる人間なのだろう。今日はボイトレを休んでもいい、それをやらなくとも誰にも文句は言われまい。でも、そこで手は抜きたくないとブレーキがかかる。  文章も、何を書くかよりも何を書かないかの方が難しい。あれもこれも出力するうちに独り善がりとなり、読み手の存在を忘れてしまう。そうなったら共感など得られぬし、誰もお金を出して読もうとは思わない。  自分に「これをやってはいけない」とNOを課すことで文章に色気が出る。ダンディズムといえばカッコいいが、要は痩せ我慢。誰に誉められるわけではなく、そこになんの見返りを得られずとも信念が破るのを許さない。  ファンが感じている純烈メンバーの魅力とは、容姿やパフォーマンスだけでなくそれぞれの中に自分へ課したダンディズムを持っているから醸成されている……そう思えるのだ。 「それぐらい真面目な白川ですけど、普段はいたずら好きの三の線ですよ。グループを作った時の立ち位置で二の線をやってきたけど、今はポロポロと出ているでしょ。あれが本来の姿と僕には映っています。釣りの番組に出ているところとか見ると面白いやないですか。  二の線があるから、たまにこぼれる三の線が生きる。だから今がバランス的にいいんじゃないですか。本来の姿を出せるようになったから、二の線も役割としてラクに出せている部分もあると思いますし。努力しながら、その合間に新宮(崇志)さんにちょっかい出して、嬉しそうにいたぶったりしていますからね」  4人の人物像を聞き終えたあと、ひと呼吸を置いて山本に振った。「友井雄亮さんは、どんな方だったんですか」。
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包み隠さず話した元メンバー・友井雄亮への思い
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