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日本にマトモな野党は無い。都知事選を機に「枝野おろし」の号砲だ!/倉山満

日本にマトモな野党は無い。都知事選を機に「枝野おろし」の号砲だ!

言論ストロングスタイル

今年の2月に行われた立憲民主党の党大会であいさつする枝野幸男代表。週刊SPA!7月14日号発売時には都知事選は決しているが、熾烈な2位争いの結果こそ我々は注視していかねばならない 写真/時事通信社

 言論界には、“オオカミ中年”があふれている。毎年「今年は中国が崩壊する」と予言する本が出版されているが、そのすべてが外れている。  今も「世界はコロナ騒動を起こした中国を許さない」との言説を撒き散らして商売をしている御仁がいるし、去年あたりは「香港の人権侵害を米英が阻止する」と言いふらした人間もいた。  ところが事実は異なる。コロナ騒動で中国は焼け太りの様相だし、香港では人権弾圧が相次いでいる。国家安全維持法が施行されてから、2日で300人が逮捕されたとか。  こうした中国の振る舞いに、与野党問わず日本の国会議員の中からも「何とかしたい」との声を聞く。  たとえば亡命者の受け入れなどは考えられるだろう。しかし、イギリスのように亡命者の受け入れなど表明したら、その中にスパイを紛れ込ませるのが中国の手口だ。日本がやろうとしても、対策ができるとは思えない。明治の昔は福沢諭吉が朝鮮からの亡命者を自宅で匿ったりしたが、現代日本でできることは、その程度ではないのだろうか。  そもそも、日本に国家としての覚悟があるのか。  仮に米英が香港の人権侵害を許すまじと、艦隊を派遣したとしよう。日本はいっしょに自衛隊を派遣するのか。そんな準備はできていない。  ただ、今の米英に中国と本気で事を構える気はない。そもそも香港問題は、特にイギリスにとって、「終わった話」なのだ。香港の自由と民主主義を守る意思と能力があるなら、’97年に返還などしていないだろう。  かつて、ソ連はハンガリーやチェコの若者を抹殺した。アメリカやイギリスは口では非難した。ただし、それだけだった。なぜなら、当時のハンガリーやチェコは、形式的には主権国家だったが、実質はソ連の「持ち物」だった。米英とて他人が自分の持ち物に何をしようが、本気で邪魔だてなどしない。そして香港は、形式的にも中国の持ち物なのだ。口先介入してもらえるだけ香港の人たちはありがたいと思え! これが国際政治の冷厳な現実だ。  確かにアメリカは、「やる時はやる」国である。1980年代、ロナルド・レーガンという大統領が登場した。レーガンは「ソ連を潰す!」と宣言し、本当に実行した。どうやって?  まず、自国の経済を立て直す。景気を良くして国民の支持率をあげる。そして「打倒ソ連」で結束する。イギリスなど自由主義諸国との同盟を強固にし、ソ連に軍拡競争を挑む。同時並行で諜報(インテリジェンス)を繰り広げる。最後は、ハプスブルク大公の工作が成功し、ベルリンの壁が崩壊し、ハンガリーやチェコも自由を得た。  さて。「香港を助けたい」と言うなら、これと同じことをやるしかないのではないか。香港を助けるとは「中国を潰す」と同義である。そして、再び大国になる覚悟を持つことである。  では、どこにそんな意思を持つ政治家がいるか。自分で探すしかない。そこで注目しているのが、実は東京都知事選挙だ。
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「安倍か枝野か」など、選択肢でもなんでもない
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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