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<純烈物語>拍手の代わりに万雷のシャッターを。報道陣の心を動かすステージ<第54回>

純烈大江戸無観客1

<第54回>拍手の代わりに万雷のシャッター音。無観客だからこそ垣間見られた純烈らしさ

 純烈6・23無観客ライブの取材中、マスコミ陣は困っていた。それは、ラウンドで4曲を歌い終えたあたりから明らかな空気となって場内に漂い始めた。  困るといってもネガティブなことではない。歌いきったあと、ごく自然に拍手を送りたくなるもやっていいものかどうかを考えてしまい、結果的にノーリアクションで踏みとどまるというのが続いたのだ。  無観客だから、本来は拍手を送る人たちがいない。なんの反応も得られなければ、代わりに素晴らしかったとの意を示してやろうと思うのが人情というもの。  だが、この日はDVDの収録が入っている。勝手にリアクションを起こしたら迷惑になってしまうかもしれない。そう判断し、拍手をこらえる気持ちの動きが確実に在った。  無人の客席をまわり、4曲分もの尺をエンターテインメントとして成立させてその場をハッピー空間にした純烈。仕事で来ていようが、そこに何も感じぬはずなどない。  拍手という行為は、手の位置にその人の感情が表れる。普通に胸の前で叩くよりも、頭のあたりに上げた時の方が“ブラボー感”が強い。それを無意識のうちにやるから、嘘がない。  ラウンドを終えた瞬間の情景が、まさにそれだった。中村座の後方に陣取った記者団は座敷に座り、カメラマンは三脚の後ろに立ったままだったが、幽体離脱するような形で感情がもう一人の肉体となって、スタンディングオベーションをしているように映った。  そうした高揚感とは裏腹に、じっさいのところは拍手代わりのシャッター音が無機質に鳴り響く。そのギャップがなんとも不思議な感じだった。 「やってみると、あのへんにああいう人が座っていたよなと残っているから、その光景が蘇ってきました」(後上翔太) 「無観客であるのをいいことに、スカートめくりとかやりたいことをやらせてもらいましたよ。やっていることはいつもと変わらない。2周目あたりからお客さんが見えてきて、イスの木目がシワに見える。年取った人がおるなあと思ったら、すごい年輪が入ったイスでしたわ」(小田井涼平) 「お客さんがいないのが、こんなに寂しいものかと思いました。2周まわって、すごい切なくなりました」(白川裕二郎) 「この会場でやってきたことが残像として残っていて、握手したら本当におばちゃんがおることが、こういう時だからこそわかるっちゅうかね」(酒井一圭)  初体験の「エアラウンド」を終えた4人が、それぞれの思いを口にする。観客の姿が見えたことも、そして見えたからこそその場にいない現実の切なさも“MC仕様”ではなく、本音だろう。そんなやりとりの中で切り出したのは、酒井だった。 「まあ、この状況下で純烈も解散か?なんて言われていますが……いざとなったら大阪に焼き肉屋やっとる知り合いがおるからな。純烈はこんなに頑張っとるのに、一番有名なのは元メンバーや。焼き肉屋の看板だけで俺らはニュースにならんもんなあ」  前々日に報じられた元メンバー・友井雄亮氏の焼き肉店店長としての再起。集まった報道陣は、それに対するコメントも取材する必要があった。ただ、スキャンダルに関することとなると質疑応答のさいも持っていき方を考えなければならなくなる。  ところが、酒井の方でMCのネタとして消化されたとあれば、話も振りやすくなる。直接的な事前の打ち合わせなどなくとも、聞く側と聞かれる側に適切な間合いが生じ、円滑に囲み取材がおこなわれるだろうと、この時点で確信できた。
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スキャンダルに関するMCの後は…
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