エンタメ

<純烈物語>拍手の代わりに万雷のシャッターを。報道陣の心を動かすステージ<第54回>

純烈はどこまでいっても純烈なのだ――

 無事、全9曲を歌いきったあと休む間もなく純烈は撮影用として、ショートVer.でもう一度エアラウンドをまわった。これも無観客だからできることで、目線が来たカットや正面顔を至近距離で取るための計らいだった。  いつもとは違うアングルで撮影できるのであれば、そのための時間も割きましょうというマスコミに対するサービス精神。そうだとわかっていても、4ヵ月ぶりのフルサイズライブを終えた直後に応じるなど、なかなかできることではない。  しかもそこからさらに囲み取材もある。書くまでもないがこの日、メンバー4人は一瞬たりとも嫌な顔を見せなかった。 「無観客というのは何が正解なのかわからないというか、純烈としてお客さんとコミュニケーションをとりながらライブを作る中で、その跳ね返りがまったくない。でも純烈も眠っているばかりじゃ物足りないという方もたくさんいらっしゃるし、僕たちも歌詞や振り付けを忘れるぐらい間隔が空いてしまって、じゃあ10周年経ったからと今日の運びになったんですけど……物足りない部分もあるけど、ライブは楽しかった」(酒井) 「4ヵ月近くお客さんと会えていなくて、そんなに会わなかったら普通は記憶が薄れたりするよなあと思ったりしていたんですけど、席をまわっているとあの人だったらこういうふうに楽しんでいるだろうなというのが浮かんできたので、本当にキャラの濃いしあわせなお客様に囲まれていたんだなと、ありがたく実感しました」(後上) 「久々にメンバー4人で1時間ライブをやらせていただいて、体のあちこちが悲鳴をあげています。マイクがこんなに重い物とは思わなかった。これから徐々にリハビリを重ねて、いつか皆さんの前でまた楽しいステージをおこないたいと思います」(白川) 「コロナ前に僕たちが演っていたライブの熱気をなるべく忠実に、それ以上に再現できるようにと朝から気合いを入れてきたんです。カラ回りした部分もあったけど、元気さだけは届けた自信があるし、それを皆さんに見ていただけるという思いで頑張っていました。振り付けは大丈夫でしたけど、歌詞を1ヵ所間違えてしまいました。あとは体よりも頭の記憶の方がおかしかった」(小田井)  質疑応答が続く中で「友井さんのお店にはいきますか?」と振られると、酒井が「そこは純烈も3年連続紅白決めないといけないし、コロナで飲食店って大変ですしね。友井にも頑張ってもらって、お互いが本当に安定してまた会える日が来たら僕もお店に食べにいきたいと思っています」と答えた。そして、場が盛り上がる“反撃”も。
純烈大江戸無観客2

質問者の仰々しい飛沫対策にどうツッコミを入れようか思い悩む純烈メンバー

 代表質問を担当した人物が仰々しいほどの飛沫対策姿であるのを拾って「ショッカーみたいなカッコしやがって。仮面ライダー、久しぶりに変身するぞ!」と酒井が身構える。そこへ絶妙な間合いで小田井が「変身するのはいいんやけど、勝てる気が全然しないんですよ」とオチをつけた。 「こっちは(白川も含め)3人地球を守れるんやからな」と強がる酒井だが、もはやそんな体力は残っておらず、残念ながら小田井の方に説得力があった。これが囲み会見の締めだというのだから、純烈はどこまでいっても純烈なのだ――。 (この項終わり) 撮影/ヤナガワゴーッ!
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ