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新宿歌舞伎町の定宿ラブホで有害な若者たちへの憎悪を募らせる/古谷経衡

新宿で平日6000円台のコスパ

 さて、それに対して「Cゾーン」には落ち着きがある。職安通りから路地を何本か入った場所にあるので車も人影もまばらである。ちゃらちゃら感がまるでない。「ウェーイ」と叫ぶ若人も皆無である。あきらかに年齢層が高い。朝になるとカラスが電線につらなり、ゴミの残滓を狙っているのもまたオツなのである。実に閑静なラブホ街といえよう。  遅くなったが今回紹介するのはこの「Cゾーン」にあるラブホ「遊楽膳」である。外観を見ていただければわかると思うが、暖簾に提灯と実に和風の作りになっており、実際に私が確認しても「和室」に改装された室が2室ある。
遊楽館ミラー

天井のミラーを映す筆者

遊楽館浴室

標準的な浴室だが流行りの浴室TVがある

 ただし私がこの物件に入館すると、残念ながら和室が空いていたためしはなく、仕方なく毎度普通の洋室に入るのである。価格はいたって良心的で、部屋にもよるが平日5000円台からある。室内は可もなく不可もなくだが、近代化改装が施されていて浴室には流行りの浴室テレビも完備してある。天井は鏡面が標準装備されていて、若干の古さを感じるが、逆に今はやりのラグジュアリーラブホからは続々と天井鏡面が撤去されているので、こいうものがあったほうが一興というところであろう。  もちろんVOD(ビデオオンデマンド)も完備だ。「Cゾーン」にあり、一泊平日6000円台のラブホにはVODも浴室テレビも無いケースが多いが、本館はそうではない。またルームサービスのほうはどうなっているのかというと、24時間営業の出前屋と提携しており、いつでもうどんとかそばとかカレーとか丼類とかを注文することができる。もっともコロナ禍で営業時間が変更になっている場合があり、すべて可能かというとそうではないところに注意が必要である(実際、私が深夜に注文すると連絡不通であった)。  本物件は気楽に独りで入る、または価格を重視するアベックには大変おすすめの物件であると太鼓判を押す。
(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数
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