更新日:2020年09月23日 20:41
お金

父親代行を副業に…シングルマザーが依頼してくる事情とは?

罪悪感を感じつつも母子の笑顔に癒やされる

 単発の刹那的関係ではなく数年間、氏を父親として育った子供たちとも、必ず別れの日が来る。 「最後の日にお別れを告げるために会うことはほぼありません。お母さんのほうから、『パパとは離婚したとか、パパは海外転勤になってもう会えないとか、いろいろな方法で伝えてもらいます。そして僕が会うことは二度とありません。切ない別れを経験させることになってしまいますね」  また、一時的であっても夫婦として過ごした相手ゆえ、依頼主から好意を寄せられることもある。 「お母さまのほうから『本当の夫婦として付き合っていただけませんか』と言われたり、におわされたりしたことも。依頼主には僕が家庭を持っているなどの素性は明かされていませんから、仕方ない部分もあるのです。仕事でやっていることですからと、断るしかないですね」  長谷川氏にとっても困惑の場面が多々あるこの仕事。1万~2万円程度の報酬では見合わないほどの重圧がありそうだが、そのモチベーションはどこから来るのか。 「父親として行った数時間の間、お母さんやお子さんが楽しそうに笑ってくれる、それは本当に嬉しい。その気持ちがあるから続けていけます。担当する家庭の状況を事前にしっかり頭に入れて、母子に向き合える人なら、演技の経験がなくても、子供がいない人でもできると思います。特に、家族愛を題材にしたドラマや映画が好きな人や、それに憧れている人は向いていると思います」  功罪は意見が分かれるところだが、父親代行のニーズは今後高まっていくことは間違いない。 【長谷川裕一氏(仮名)】 家族代行サービス会社「ファミリーロマンス」所属。本職はスポーツクラブ勤務のジムトレーナー。現実の妻、子2人と関東近郊で暮らしている。 <取材・文/武馬怜子(清談社)>
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