お金

「借金は恥ずかしいこと」だった18歳。むじんくんと初めて対面した僕は…

むじんくんと初対面するために待機した朝9時、京都

 翌日。誰にも見られないように、むじんくんが営業を開始する朝の9時前に、近くの喫茶店で息を潜めていた。  誰も来るな、と祈っていた。借金は恥ずかしいことなので、僕以外にもこの時間を狙うクズがいると思っていた。狙うクズに、祈るクズ。この時はどちらも自分のことだとは思っていなかった。  9時になり、誰の視界にも入らないように忍び足でアコムに入る。むじんくんとの初対面だ。  むじんくんは思ったよりも大きかった。未来を感じる。バカデカいATMが「いらっしゃいませ」と声をかけてくる。これから僕はクズじゃない釈明をして、初めて金を借りる。  むじんくんとのやりとりが始まり、てっきり「むじんくんAI」のようなものが対応してくれると思っていたが、むじんくんを通してオペレーターのお姉さんに繋がったため、裏切られた気持ちになった。滝のように汗をかいたのを覚えている。このお姉さんから僕はクズだと思われただろうか。やりとりの間、何度も「本当は借りたくないんですけど」と言った。  30分ほどのやりとりが4時間の尋問に感じた。地獄だった。もうこれで借金はしないと誓ったし、犯罪も犯さないと決めた。僕はきっと尋問には耐えられない。オペレーターのお姉さんによる尋問の末、むじんくんからアコムのカードが吐き出される。これから最初で最後の「僕の罪」が始まる。  むじんくんのすぐ近くに、アコム専用のATMがあった。ここにカードを入れ、限度額の10万円を打ち込む。バイトで手に入れるなら100時間、パチスロなら5,000枚。どちらも簡単には達成できない金額を、アコムは簡単にくれた。 「これが、僕の金……」  10万円を握り締めた僕は家賃を払い、汚れてしまった自分を恥じた。もう二度と借金はしないと誓った。  あれから8年。僕は何度も危機に陥った。夢も諦め、目の前の生活にしがみつき、たまに誘惑に負けた。  その度に借金をするかどうかの岐路に立たされ、「決断」を迫られた。  2020年8月現在、僕は10枚のカードと500万以上の借金を抱えている。
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩
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