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神足裕司×西原理恵子の名コンビがタッグ『介護の絵本』。著者の想いを聞いた

「どこまでやりますか」と聞かれる

 そのほか、手術をするのか? しないのか? 管を入れるのか? いれないのか? ケアマネさんを変えるべきか? 取材や外出の欠かせない足となる車の購入をどうするか? などなど。  介護をしているとさまざまな決断が求められる。そして、その度に悩み考え、決めてきたのだ。 介護の絵本3 このことについて明子さんに伺うと、「決めるのは嫌だし、正直、慣れることはないですよ」といいつつ、こう話してくれた。

「どこまでやりますか」と聞かれる

「エアコンやテレビの買い替えや私の仕事と裕司の仕事の兼ね合いをどうするかといった小さなことを含めると、確かに決めなきゃいけないことはたくさんある。究極は延命治療について。医療システムが変わったのか、昨年くらいから救急車で運ばれて応急処置をしているときに、『どこまでやりますか』って聞かれるようになって。 裕司本人を含め、家族の中でも考えは違うし、これは息子に決めさせるわけにもいかない。私だよな、っていうのはあります。でも、救急車で運ばれるたび毎回聞かれて、いつも『せめて、数日間考えさせて』って思う。私もできるなら、あやふやなまま生きていきたい、みたいな(笑)」  それでも、「山積みされたたくさんの困難を一つずつ解決してゆく」神足さんとその家族。その姿は読者を元気づける。 「新型コロナウイルスの影響で4月から3か月間、本当に家から一歩も外に出なかったんです。『神足さんが感染したら大変』と皆さん遠慮されて家に来るのもヘルパーさんくらいで。そのとき、裕司が『このまま人と会わなかったら、死んでしまう』って」  神足さんには行きたいところ、見たいもの、書きたいことがたくさんある。数年前から夢中になっているVR撮影のほか、「かっこいい車椅子」「車椅子でも選べる福祉車両」など、その好奇心はまったく衰えていない。  最後に、神足さんにから『コータリン&サイバラの介護の絵本』刊行について、今の思いを寄せてもらった(以下、神足さんの寄稿)。
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神足さんからのメッセージ
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