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神足裕司×西原理恵子の名コンビがタッグ『介護の絵本』。著者の想いを聞いた

誰かが待っていてくれる

新しい本がでた。 ボクが9年前にくも膜下出血になってから、5冊目となる。 1冊目の本を出版した時は一度にかける量は200字ぐらい。 倒れてまもない頃は意味不明な単語を書いていたし、何が食べたいかとかそんなもので、文字が書けることを発見したといった感じ。 けれど、文字が書けるならと、ラジオ番組が週一回手紙を書くコーナーを作ってくれた。 「1行でもいいです」 そう言ってくれて、コーナーのために文章を書きはじめた。 文章を読んでくれたのは、番組のコメンテーターをしていたえのきどいちろうさんだ。 彼とは大学時代から同業者として常に近くにいた存在。 いい意味でライバルだったかもしれない。 その彼が毎週読んでくれてコメントをくれる。 どんどん書ける量が増えていった。 脳がメリメリと音を立てて動くのがわかるくらい。 やっぱり、誰かが待っていてくれて、必要にかられて書く「仕事」が大きなエネルギーとなり、ボクの脳を覚醒させていったのだと思う。

書くことによって救われた

それから、書くことが自分のために生きていく証のような存在になっていった。 その手紙が発病後1冊目の本。それから数えて5冊目の本が『介護の絵本』になる。 9年の間にはいろいろあった。けれど、書くことによって救われた。 今回の本は、まずサイバラが読んでくれて、あーでもないこーでもないと感想のイラストを描いてくれる。 そして、今の時代、読者がSNSなどで毎週欠かさずコメントをくれる。 それが今のボクのエネルギーになっている。 <取材・文/鈴木靖子> 【神足裕司】 1957年生まれ。コラムニスト。雑誌連載、テレビ、ラジオなど幅広い分野で活躍。2011年9月、くも膜下出血に倒れ、失語症、左半身不随などの後遺症が残り「要介護5」認定。2012年9月に退院、自宅で介護を受けながらコラムニストとして復活。 Twitter:@kohtari
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