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<純烈物語>歌と向き合い、最愛の母を気遣う……コロナ禍での白川裕二郎の孤独な闘い<第65回>

孤独な闘いを続けていた

 ステージから離れている時間をムダにはしたくなくて、絶対によりうまくなってやるとの気概で白川は孤独な闘いを続けていた。思えば、ずっとそのような姿勢で純烈のメインボーカリストとして歌と向き合ってきた。  一歩進んだかと思ったら二歩下がり、それが悔しくてまた前に進もうとする。これまでは、落ち込むことがあっても目の前の観客がいることによって救われた。 「お客さんの笑っている顔、楽しんでいる顔を見るとなんか頑張れちゃうことがたくさんあったし、落ち込んでいるのを引きずってステージに立ったとしても、お客さんがいることによってすごく気持ちを盛り上げてもらえて、パワーをもらってきた。自分の中でいろいろ考えているけれども、ライブを楽しもうと来ているお客さんたちがいるので、なんとかそれに応えようとしていたんです。  でも、今は支えてきてくれたお客さんがいないから自分でなんとかするしかない。無観客ライブを東京・お台場と大阪・箕面でやらせていただきましたけど、いつもなら幕が開いた瞬間、ワーッときてペンライトを振ってくれていたお客さんの顔がないわけじゃないですか。それはすごくさみしかったし、なんとも言えない気持ちというかね。一曲歌っても拍手も歓声もないし、当たり前の風景が当たり前ではなくなっているのが、たまらなく辛かった」  9月30日にリリースされたこの時の模様を収録したDVD『純烈のスーパー銭湯で逢いましょう♪』では、そんな思いを微塵も感じさせぬプロの歌い手・白川裕二郎が躍動している。しかし、その内面を知った上で見ると、より深みが増すはず。きたる有観客ライブの日に向けて、その笑顔の裏に隠された七転び八起きは続けられていく。 撮影/鈴木健txt.
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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