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<純烈物語>「本来やるべきことができていない」 小田井涼平はいま葛藤する<第68回>

ファンの期待値は膨らんでいる

 2020年をなかったことにしつつも、その中で培ったものまでが無ではない。それは白川裕二郎の歌唱力もしかりだ。止まった時間の分、ファンの期待値はどんどん膨らんでいると小田井は見ている。  自分たちは変わらぬ感覚でやっても、いざ復活したら見る側のハードルが上がっていて「純烈ってこんなもんだっけ?」となる可能性を孕んでいる。これも、どれほど巨大化しているのか読みにくい。 「本来、俺らは大したことやっていなかったのに、すごく大したことをやっていたと妄想が膨らんでいるぶん、再開できた時は過去の純烈よりも頑張らなきゃと思っているんです。長引けば長引くほど、そのハードルは上がっていると思うし、期待していたのと違うみたいに思われるのが怖い。  そうやって価値観が変わっていて、それでもみんなが大変な思いをしているからこそ何かにすがって、何かを楽しみにしている部分が大きくなっているならば、よほどのことをせなあかんかなという思いですよね。何ができるかは、今の時点ではわからないですけど」  純烈における年長者の小田井であっても、不安や葛藤は抱えているのがコロナ禍における実情だ。それでも自分がやれることに対し全力で向き合っている。東京お台場 大江戸温泉物語の無観客ライブで見た大粒の汗の裏には、そんな思いがあった。
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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