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<純烈物語>“諦めない”を反芻しながら白川裕二郎は「おばちゃんたちの笑顔」を欲している<第66回>

白川裕二郎

<第66回>コロナ禍の中で印象に残った“諦めない”の言葉。白川裕二郎を支えるのは「おばちゃんたちの笑顔」

「あの時は、映像として残ることによって僕たちの元気というものを伝えるつもりでステージに上がりました。ただ、ファンの皆さんは喜んでくれるだろうけどその一方で、映像でしか見られないことでさらに寂しくなっちゃう人もいるのかなっていう思いもありましたよね」  6月23日の東京お台場 大江戸温泉物語。無観客ながら約4ヵ月ぶりにメンバーとともにステージへ立った白川裕二郎は、そうした引っかかりを抱きつつテレビ収録とは違う複数曲を歌い続けた。MCに関しては酒井一圭と小田井涼平で8割方話すような感じなので発言も少なめとなるのだが、「エアラウンド」を終えたあと振られて出たのが「お客さんがいないのがこんなに寂しいものかと」だった。  それが、ボーカリストとして観客の存在によって支えられてきたからこその率直な思いだったことが、今になって理解できる。目の前にファンがいないという現実描写以上の思いが、そのひとことにはこめられていたのだ。  同時に、ファンが見たくても見られない中でライブをやることに対しどう向き合うべきなのか。それは、メンバー全員共通の命題だったに違いない。  笑顔を振りまけばまくほどに寂しさを与えてしまう可能性も生じる。純烈とは、そこまで考えるパフォーマンス集団だ。  提供する側も受け手も、なんらかの葛藤を持たざるを得ない。それがエンターテインメントを取り巻く現状である。

「諦めない」という言葉

 ただ、葛藤を共有することでより距離感は近づくはず。コロナ禍の中で印象に残ったできごとは何かと振ると、白川は「諦めないという言葉」と答えた。 「こういう状況だけに、ファンレターがいっぱい来たんですよ。そこに“諦めないで”と書かれていることが多くて。諦めないというのは、いろんな意味がこめられていると思うんだけど、僕が精神的にそこまで弱い人間だと思われているのかもしれない。いろいろ大変だけど裕ちゃん、純烈やめずに諦めないで頑張ってね、っていうことなんでしょうけど……いやいや、俺全然そんなこと思っていないしって。  そんなに俺、マイナス思考に見える?って思いました。MCとかでは冗談で純烈やめたる!とか言いますけど、そういう言葉を多くいただいたので、みんなこそ人生を諦めないでねと思ったんですね。月並みかもしれないけど“諦めない”という言葉が強く刻まれました」
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白川裕二郎の強さを感じてほしい
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